天体物理学における降着円盤の構造と物理メカニズム

📌 主なポイント
- ✓降着円盤は、中心にある重い天体の周囲を公転しながら落下する物質によって形成される円盤状の構造である。
- ✓物質が中心へ落下するためには、角運動量を外側へ輸送する必要があり、そのメカニズムとして磁気回転不安定性(MRI)などが提唱されている。
- ✓シャクラとスニヤエフによって1973年に提唱されたアルファ粘性モデルは、円盤の構造を理解する上で重要な理論的基礎となっている。
降着円盤(こうちゃくえんばん、英: accretion disk)とは、中心に位置する重力源となる天体の周囲を公転しながら落下する物質によって形成される、円盤状の構造を指します。

物理的背景と形成過程
中心天体は主に恒星やコンパクト天体(中性子星、ブラックホールなど)であり、この場合に形成される円盤は広義には星周円盤と呼ばれます。円盤内を公転する物質は、摩擦や粘性応力によって中心天体に向かってらせん状に落下していきます。重力と摩擦力によって物質は圧縮されて温度が上昇し、電磁放射が引き起こされます。
放射される電磁波の周波数範囲は、中心天体の質量に依存します。例えば、若い恒星や原始星の周囲にある円盤は主に赤外線を放射し、中性子星やブラックホールの周囲ではX線帯域の放射が行われます。
角運動量輸送のメカニズム
物質が中心へ落下するためには、重力エネルギーだけでなく角運動量をも失う必要があります。円盤全体の角運動量は保存されるため、中心へ落下する質量が失った角運動量は、外側へ輸送されなければなりません。しかし、通常の分子粘性だけでは、観測されるような急速な降着を説明するための十分な角運動量再分配を行うことができません。
アルファ粘性モデル
ニコライ・シャクラとラシード・スニヤエフは1973年の論文において、ガス中の乱流が粘性を増加させる起源となることを提唱しました。この標準的なアルファ粘性モデルでは、乱流の効果を調整可能なパラメータである α を用いて表現します。
磁気回転不安定性
1991年、S. A. Balbus と J. F. Hawley によって磁気回転不安定性(MRI)が再発見されました。これにより、重いコンパクト天体の周囲にある弱く磁化した降着円盤は非常に不安定であり、これが角運動量の再分配を引き起こす直接的なメカニズムであることが提唱されました。
多様な降着円盤の形態
降着円盤は、その天体物理学的文脈に応じて様々な名称で呼ばれます。
よくある質問
降着円盤とは何ですか?
降着円盤からはどのような電磁波が放射されますか?
アルファ粘性モデルとは何ですか?
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参考文献
- Frank, Juhan; Andrew King; Derek Raine (2002). Accretion power in astrophysics. Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-62957-7.
- Krolik, Julian H. (1999). Active Galactic Nuclei. Princeton University Press. ISBN 978-0-691-01151-6.
- 福江純『降着円盤への招待』講談社〈ブルーバックス〉、1988年。ISBN 4061327178。
- Shakura, N. I.; Sunyaev, R. A. (1973). "Black Holes in Binary Systems. Observational Appearance". Astronomy and Astrophysics 24: 337-355.
- Balbus, Steven A.; Hawley, John F. (1991). "A powerful local shear instability in weakly magnetized disks. I - Linear analysis". Astrophysical Journal 376: 214-233.