形容詞の言語学的特徴と文法体系の解説
📌 主なポイント
- ✓形容詞は名詞や動詞と並ぶ主要な品詞の一つであり、物の状態や様子を表す。
- ✓言語によって形容詞の語数は大きく異なり、イマス語のように3語しか存在しない言語もある。
- ✓日本語の形容詞は文語および古語においてク活用とシク活用に分類される。
形容詞(英: adjective)とは、名詞や動詞と並ぶ主要な品詞の一つです。大小・長短・高低・新旧・好嫌・善悪・色などの動作以外における物の状態や様子を表し、述語になったりコピュラの補語となったりして人や物に何らかの属性を表す単語、あるいは名詞を修飾して名詞句の指示対象を限定する用法を持つ単語を指します。
言語による形容詞の多様性
形容詞に属する語の数や文法的な振る舞いは言語ごとに異なります。語数に関しては、数百以上の形容詞を持つ言語がある一方で、数語から数十語しか持たない言語も存在します。例えば、ニューギニアのイマス語には「大きい」を意味するkpa、「良い」を意味するyua、「他の」を意味するmaの3つしか形容詞が存在しないことが知られています。
また、形容詞の文法的な振る舞いは主に以下の4つのタイプに分類されます。
- 形容詞が動詞に似ている言語: 中国語(官話)、タイ語、ベトナム語、朝鮮語など。形容詞は動詞と同様に単独で述語となる。
- 形容詞が名詞に似ている言語: ラテン語、スペイン語、フィンランド語、ハンガリー語、イボ語、ケチュア語、ジルバル語など。形容詞は単独で述語になれず、名詞句の中に現れる。
- 動詞にも名詞にも似ている言語: ベルベル語、タリアナ語、タケルマ語など。形容詞は単独で名詞句にも述語にもなる。
- 動詞にも名詞にも似ていない言語: 英語、トゥニカ語、マム語など。形容詞は単独では名詞句にも述語にもならない。
日本語の形容詞
日本語の形容詞はおもに物事の性質や状態を表し、言い切りの形(終止形)が「〜い」となる自立語で、活用する用言の一つです。学校文法では形容詞と形容動詞に分けられますが、日本語教育文法では連体形語尾に基づいてそれぞれ「イ形容詞」「ナ形容詞」と分類されます。
現代日本語の形容詞の活用
学校教育で広く採用されている橋本進吉の文法体系によると、現代共通日本語の形容詞は一つの標準的な活用を持ちます。未然形に「かろ」、連用形に「かっ・く・う」、終止形・連体形に「い」、仮定形に「けれ」、命令形に「かれ」をとります。
古典日本語の形容詞の活用
古典日本語では、連用形の語尾の違いにより「シク活用」と「ク活用」に区別されます。「しい」「じい」で終わるシク活用の語には「楽し」「悲し」など心の動きを表すものが多く、「い」で終わるク活用の語には「高し」「赤し」など事物の性質や状態を表すものが多く見られます。また、補助的な活用の系列として「カリ活用」が存在します。
欧州言語の形容詞
ロシア語やポーランド語などのスラブ諸語、ドイツ語などのゲルマン諸語、あるいはロマンス語などでは、形容詞が修飾する名詞の性、数、格に応じて変化する特徴を持ちます。一方で、英語の形容詞は性・数・格による変化の一切を失っています。また、多くの欧州言語では原級、比較級、最上級という3つの段階を持つ比較変化の仕組みを備えています。
よくある質問
形容詞とはどのような品詞ですか?
日本語の形容詞にはどのような活用がありますか?
英語の形容詞は他の欧州言語と何が異なりますか?
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参考文献
- Foley, William A. (1991). The Yimas Language of New Guinea. Stanford University Press.
- オットー・イェスペルセン 『文法の原理(中)』