気象学

気温の基礎知識と測定・変動要因

気温の基礎知識と測定・変動要因
気温の定義、世界気象機関(WMO)や気象庁による正しい測定方法、変動を左右する要因について詳しく解説する気象学の基礎知識記事。

📌 主なポイント

  • 気温とは対象とする場所の空気の温度であり、気象要素のひとつである。
  • 世界気象機関(WMO)は、地上から1.25m〜2.0mの高さで温度計を直接外気に当てずに測定することを定めている。
  • 気象庁の規定により、日本国内での気温測定の高さは地上1.5mとされている。
  • 標高が100m高くなるごとに、海抜0〜2000m付近では平均して0.65°Cずつ気温が低下する。

気温(きおん)とは、対象とする場所の空気(大気)の温度であり、気象要素のなかでも最も基本的なもののひとつである。一般に単に気温という場合、それは地上の気温、すなわち地表から一定の高さで日射を遮り、適切に通風された条件下で測定される屋外の気温を指している。

気温の測定方法

天気や気候を考察する上で基準となるのは「地上の気温」である。世界気象機関(WMO)は、地上から1.25mから2.0mの高さにおいて、温度計を直接外気に当てない状態で測定することを規定している。日本国内においては、気象庁が測定高さを1.5mと定めている。

これらの条件を満たすため、温度計や湿度計はファン付きの通風筒や百葉箱の中に設置される。温度計が雨や雪、結露によって濡れたり凍結したりすると、蒸発や融解に伴う潜熱吸収により温度が低下し、測定誤差の原因となる。また、太陽光の直射や周囲の空気の滞留も本来の気温以上の温度上昇を招くため、通風筒や百葉箱には雨雪の侵入を防ぎつつ適切な換気を行う構造が求められている。

設置場所についても厳格な基準が設けられており、気象庁の『気象観測の手引き』では、開けた平らな土地であって、周囲に樹木や建物などの障害物、および熱源となるものが存在しない場所で行うこととされている。露場の地面は丈の短い芝生が最も望ましいとされ、照り返しの強いアスファルトなどは不適当とされる。

気温を左右する要因

地上の気温は、太陽光(日射)、地球放射、大気放射、地形、海洋、標高、植生など、多様な要因によって変化する。

  • 太陽光(日射):地球上の気温に最も大きな影響を与え、太陽高度や入射角度の変化によって1年周期の季節変化や1日周期の日変化を引き起こす。
  • 地球放射と放射冷却:地表から宇宙空間へ向けて放射される赤外線(地球放射)により地表が冷やされる現象を放射冷却と呼ぶ。雲が少なく風が弱い夜間に顕著となる。
  • 標高:対流圏の空気は通常、標高が高いほど気温が低くなる。海抜0〜2000m付近では、標高が100m高くなるごとに平均で0.65°Cずつ低下する(気温減率)。
  • 海洋・水辺:水は熱容量が大きく温度変化が緩やかなため、海上や海沿いでは気温の変化が小さくなる傾向がある。

気温の日変化

地上の気温の日変化は、太陽放射と長波放射(地表からの赤外線放射)のバランスに支配されている。日中は日の出から太陽放射量が増加し、正午頃に最大となる。一方、長波放射量は太陽放射から少し遅れて最大値に達する。

夜間は日射がないため長波放射によって地表が冷却され、日の出のころに1日の最低気温を記録する。日中においては、午後2時前後に最高気温が記録されることが多い。この太陽放射のピークと気温のピークのずれは、大気が地表を介して間接的に温められる熱慣性の仕組みに起因している。

気候変動と長期的な傾向

気温は日々の天候や季節変化だけでなく、数年以上の規模による気候変動の影響も受ける。特に19世紀半ばの産業革命以降は地球規模で気温が上昇する傾向にあり、人為的な温室効果ガスの排出増加がその主な要因とされている。

よくある質問

気温は地上からどのくらいの高さで測定されますか?
世界気象機関(WMO)の規定では地上1.25mから2.0mの高さで測定すると定められており、日本では気象庁が1.5mと定めています。
最高気温が日中で最も遅い時間に記録されるのはなぜですか?
太陽放射によって暖められた地表からの長波放射が大気を間接的に加熱するため、太陽放射のピークから少し遅れて午後2時前後最高気温が記録されます。
標高が高くなると気温はどのように変化しますか?
海抜0〜2000m付近では、標高が100m高くなるごとに平均で0.65°Cずつ気温が低下します。

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参考文献

気象庁『気象観測の手引き』 / 大田正次「気温」『日本大百科全書』(小学館) / 世界気象機関(WMO)関連報道資料