航空機の飛行方位計の仕組みと役割

📌 主なポイント
- ✓飛行方位計は、定針儀や方向指示器とも呼ばれる航空機の針路を示す計器である。
- ✓磁気コンパスとは異なり、加速や傾斜による誤差の影響を受けにくい特性を持つ。
- ✓地球の自転や機械的要因によるドリフトが発生するため、定期的なリセットが必要となる場合がある。
飛行方位計(ひこうほういけい、英語: heading indicator, HI)は、定針儀(ていしんぎ、英語: directional gyro, DG)または方向指示器(ほうこうしじき、英語: direction indicator, DI)とも呼ばれ、航空機の針路をパイロットに提示するために使用される重要な航空計器の一つである。

使用方法と磁気コンパスとの違い
小型機などにおける方位確認は主に磁気コンパスを利用して行われる。しかし、磁気コンパスには地球磁場の傾斜や機体の加速・減速時に生じる誤差など、いくつかの特有の誤差が存在する。例えば、バンク中や加速・減速の最中には正確な読み取りが難しくなり、完全な直線かつ水平な飛行状態以外では正確な使用が困難になる。
こうした磁気コンパスの弱点を補うため、ジャイロスコープを利用した飛行方位計が用いられる。飛行方位計は傾斜や加速度誤差の影響を受けないため、パイロットは通常こちらを主要な方位の参考として機体を操縦する。ただし、ジャイロスコープの特性上、時間の経過とともに誤差(ドリフト)が生じるため、パイロットは定期的に磁気コンパスが示す方位へ飛行方位計をリセットする必要がある。
操作とジャイロの仕組み

飛行方位計は内部にジャイロスコープを備えており、架設機構によって航空機のヨーイング面(縦軸と横軸で定義される面)に結びつけられている。ジャイロスコープの回転駆動には、電動方式のほか、エンジンから駆動される吸引ポンプや高高度航空機における圧力ポンプからの濾過された空気流が利用される。

地球の自転やジャイロのバランスの不完全さに起因するわずかな誤差が蓄積されることで、計器は時間とともに実際のドリフトを起こす。見かけ上のドリフトは極域で最も大きくなる傾向があり、これを相殺するために地上で緯度ナットによる調整が行われる。適切に調整を行わない場合、通常は10から15分ごとに手動での再調整が求められる。また、航空機の移動や子午線の収束によって生じるトランスポートワンダと呼ばれる別の形態のドリフトも存在する。

バリエーション
より高価なシステムや現代的な航空機においては、フラックスゲートと呼ばれる磁気センサーに「スレーブ」された方位計が採用されている。フラックスゲートが地球の磁場を継続的に感知し、サーボ機構を通じて自動的に飛行方位計を補正し続けるため、パイロットが数分おきに手動で再調整を行う負担を大きく軽減することができる。
よくある質問
飛行方位計の主な役割は何ですか?
なぜ磁気コンパスだけでなく飛行方位計が必要なのですか?
飛行方位計のドリフトとは何ですか?
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参考文献
- Grumman F11F Tiger Pilot's Flight Operating Instructions, United States Navy, 2008.
- Rotorcraft Flying Handbook FAA-H-8083-21A, Federal Aviation Administration, 2012.
- Instrument Flying Handbook, FAA-H-8083-15B, U.S. Dept. of Transportation, FAA, 2012.
- Pilot's Handbook of Aeronautical Knowledge, FAA-H-8083-25B, U.S. Dept. of Transportation, FAA, 2016.