航空機のストレーキと前縁付け根延長(LERX)の構造と役割

📌 主なポイント
- ✓ストレーキ(ストレーク)は、航空機の胴体、機首、主翼付け根などに設置される整流用のフィンや小翼の総称である。
- ✓主翼前縁を前方に延長した構造はLERX(前縁付け根延長)と呼ばれ、大迎角時に縦渦を発生させて気流の剥離を抑える。
- ✓ノースロップ社のF-5戦闘機がLERXの最初の採用例として広く知られており、後のF/A-18などに大きな影響を与えた。
- ✓LERXは離着陸性能や旋回性能を向上させる反面、空気抵抗が増加するというトレードオフの特性を持つ。
航空機の分野において、ストレーキ(英語: strake、ストレーク)とは、機体の胴体や機首、あるいは主翼などの側面に設けられる小翼やフィンの総称です。特に、主翼の付け根の前縁部分を前方に大きく延長した構造は前縁付け根延長(Leading Edge Root eXtension)と呼ばれ、一般にはLERXやLEXの略称で広く知られています。

LERXの空気力学的効果
翼の前後方向の長さが大きいLERXは、飛行機が大迎角(機体が進行方向に対して大きな上向きの角度をとった状態)になった際、その表面に強力な縦渦(せん断渦)を発生させる性質を持っています。発生した渦は主翼の上方を通過しながら周囲の気流を誘導し、主翼上面における気流の剥離を効果的に抑制します。

これにより、失速速度を下回るような大迎角での飛行時であっても機体の安定性を確保できるようになります。また、LERX自体も渦の発生によって揚力を生み出すため、離着陸性能の改善や、急旋回時における失速の防止といった運動性能の向上に寄与します。
軍用機における採用の歴史と発展
LERXが意図せず、あるいは実用的に採用された初期の代表例として、ノースロップ社のF-5戦闘機が挙げられます。F-5では、もともと前縁フラップの作動器を格納するスペースを確保する目的でこの膨らみが設けられましたが、結果として離着陸性能の向上に大きく貢献することが判明しました。
この設計思想は、同社が開発したYF-17試作戦闘機や、それを原型とする艦上戦闘攻撃機F/A-18へと受け継がれました。F/A-18では意図的に巨大なLERXが設計され、高翼面荷重でありながら優れた離着陸性能と高い運動性を両立させることに成功しています。また、戦闘機が急旋回や大迎角で飛行する際、LERX上部の気圧低下によって水分が凝縮し、雲状の水滴が発生することが確認される場合もあります。

さらに、ロシアのSu-57では、エアインテークの前方に可動式のLERXであるLEVECON(Leading Edge Vortex CONtroller)が設置され、機動性の制御に活用されています。MiG-29Mなどでは、LERXの下部にクルーガーフラップを追加することで着陸時の操縦性を高める工夫も見られます。

空気抵抗と設計上の課題
LERXには運動性能の向上という大きな利点がある一方で、空気抵抗が大きくなるという欠点も存在します。LERXが周囲の空気を引き込んで強い渦を形成するため、機体後方へ向かう強い抗力(引きずり力)が発生するためです。特に巨大なLERXを持つF/A-18などの機体では、加速性能の不足が指摘される要因の一つとなっています。
この抵抗を低減するため、胴体とLERXの接続部を滑らかにつなぐブレンデッドウィングボディ(BWB)形式の採用や、超音速飛行に適した形状への最適化が図られてきました。また、双垂直尾翼を持つ機体では、LERXから発生した強力な渦が垂直尾翼を直撃して気流を乱したり構造を傷つけたりする恐れがあるため、初期のF/A-18では渦の流れを抑制する「LEXフェンス」と呼ばれる小さなストレーキが追加されるなどの対策が講じられました。

その他のストレーキの用途
主翼付け根のLERX以外にも、航空機の各所や自動車において整流を目的としたストレーキが利用されています。例えば、ミラージュ2000のインテーク脇やユーロファイター タイフーンのカナード周辺に設置されているフィンもその一例です。また、自動車の車輪前部などに装着される整流板もストレーキと呼ばれ、車体下部の気流を整える役割を果たしています。
よくある質問
ストレーキとは何ですか?
LERXの主な役割は何ですか?
LERXを採用している代表的な航空機には何がありますか?
LERXのデメリットは何ですか?
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参考文献
- Pronunciation Guide. (2015-06-02). How to Pronounce Strake. YouTube. https://www.youtube.com/watch?v=eZxfKVhAl6o