日本神話
天津神と国津神:日本神話における神々の分類
日本神話における神々の分類である「天津神」と「国津神」の定義、由来、および神話上の役割について解説します。
📌 主なポイント
- ✓天津神は高天原の神々、国津神は地上の神々を指す分類である。
- ✓「つ」は上代日本語の格助詞で「の」を意味し、それぞれ「天の神」「国の神」を指す。
- ✓国譲りの神話は、国津神が天津神に対して葦原中国の支配権を譲る重要なエピソードである。
天津神(あまつかみ)と国津神(くにつかみ)は、日本神話に登場する神々を大きく二つの系統に分類する呼称です。この分類は『古事記』や『日本書紀』といった記紀神話において、神々の出自や活動の場を区別するために用いられています。
天津神
天津神は、高天原(たかまがはら)に住まう神々、あるいは高天原から天降った神々の総称です。日本神話の構造において、天界を統治する神々として位置づけられています。
国津神
国津神は、地上の世界である葦原中国(あしはらのなかつくに)に現れた神々、あるいはその地に土着していた神々の総称です。神話の展開において、天津神の系譜に連なるニニギノミコトらの天降りに際し、国土を譲り渡す「国譲り」の物語が重要な転換点として描かれています。
呼称の由来
「つ」は上代日本語における格助詞であり、現代語の「の」に相当します。したがって、「天津神」は「天の神」、「国津神」は「国の神」を意味します。文献によっては「天つ神」「国つ神」と表記されることもあります。
神話における変容
国津神については、記紀神話が編纂される過程で本来の伝承が変容したり、あるいは失われたりした可能性が指摘されています。『日本書紀』には「一書曰(あるふみいわく)」として異伝が記載されており、これらは編纂時に採用されなかった多様な伝承の断片を伝えています。
よくある質問
天津神と国津神の主な違いは何ですか?
天津神は高天原を拠点とする神々、国津神は地上(葦原中国)に現れた神々という出自と活動の場の違いがあります。
「国譲り」とはどのような出来事ですか?
国津神が支配していた葦原中国を、天津神の系譜であるニニギノミコトらに譲り渡すという日本神話上の重要な転換点です。
「つ」という言葉にはどのような意味がありますか?
上代日本語の格助詞で、現代語の「の」に相当します。そのため「天つ神」は「天の神」を意味します。
関連記事
日本神話古事記日本書紀高天原葦原中国国譲り
参考文献
- 薗田稔・茂木栄監修『日本の神々の事典 神道祭祀と八百万の神々』学研
- 戸部民夫『八百万の神々 日本の神霊たちのプロフィール』新紀元社
- 藤巻一保『古事記外伝 正史から消された神話群』学研、2011年
- 菅田正昭『面白いほどよくわかる神道のすべて』日本文芸社
- 田中治郎著、山折哲雄監修『面白いほどよくわかる日本の神様 古事記を彩る神々の物語を楽しむ』日本文芸社