言語学
アメリカ合衆国における英語の歴史と方言的特徴

アメリカ合衆国で使用される英語(米語)の歴史、綴り字や発音の特徴、主な地域方言および日本における英語教育との関わりについて解説する百科事典記事。
📌 主なポイント
- ✓アメリカ英語は、アメリカ合衆国で話されている英語の方言であり「米語」とも称される。
- ✓19世紀にノア・ウェブスターらによって綴り字の簡略化が進められ、イギリス英語との違いが生じた。
- ✓第二次世界大戦後の日本において、英語教育の中心はイギリス英語からアメリカ英語へと移行した。
アメリカ英語(アメリカえいご、米: American English)とは、アメリカ合衆国において使用されている英語の方言、あるいはその総称であり、「米語(べいご)」とも呼ばれる。エリザベス1世時代に話されていた英語を基盤の一部としており、歴史的経緯からイギリス英語とは異なる独自の発展を遂げてきた。

言語学の観点では、ある言語が母国から遠隔地に移植された場合、その当時使われていた語彙や発音、語法がそのまま温存される傾向が指摘されており、アメリカ英語にもその特徴が一部で見られる。
綴り字と発音の主な特徴
アメリカ英語の綴り字や発音には、イギリス英語との間にいくつかの明確な違いが存在する。19世紀には、ノア・ウェブスターらによる綴り字の簡略化が進められた。
- 綴りの違い: イギリス英語の「colour」がアメリカ英語では「color」になり、「catalogue」は「catalog」、「centre」は「center」、「organise」は「organize」のように表記される。
- 発音の違い: 「ask」や「dance」などの「a」の音がイギリス英語では[ɑː]であるのに対し、アメリカ英語では[æ]となる。また、「schedule」の発音にも違いがある。

主な地域方言
ウィリアム・ラボフらの研究をはじめとする調査において、北米英語には多様な地域方言や社会方言が存在することが示されている。
- 西部アメリカ英語: 多様な方言を含むが、[ɑː]と[ɔː]が統合されている傾向などが特徴として挙げられる。
- 北部内陸アメリカ英語: 五大湖沿岸部における訛りであり、北部都市母音推移が特徴となっている。
- 南部アメリカ英語: 母音を引き伸ばして発音する特徴や、二人称複数代名詞として「y'all」を用いることなどで知られている。
- ニューヨーク市英語: ブルックリン地区などにみられる特有の発音やアクセントの傾向がある。
このほか、ハワイ州で話されているハワイ・クレオール英語など、地理的環境や移民の影響を受けた独自の言語形態も存在する。
日本における受容
日本における英語教育において、第二次世界大戦以前はイギリス英語が中心であったが、戦後はアメリカ英語が主流となった。文部科学省の指導方針などの変遷を経て、現代の日本の教育や社会においても広く浸透している。
よくある質問
アメリカ英語とイギリス英語の大きな違いは何ですか?
綴り字(colorとcolourなど)や一部の母音の発音、語彙などに違いが見られます。
アメリカ英語の綴り字改革を進めた中心人物は誰ですか?
19世紀にノア・ウェブスターらが綴り字の簡略化を主導しました。
日本の英語教育はいつからアメリカ英語中心になりましたか?
第二次世界大戦後、日本の英語教育はイギリス英語中心からアメリカ英語中心へと移行しました。
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参考文献
- Lewis, M. Paul; Simons, Gary F.; Fennig, Charles D., eds. (2015). “English (United States)”. Ethnologue: Languages of the World (18th ed.). Dallas, Texas: SIL International.
- kotobank「米語」
- 末延岑生『ニホン英語は世界で通じる』平凡社新書、2010年。
- The Atlas of North American English, 2006.