書籍
アメリカ合州国 (本多勝一の著書)
本多勝一による1970年の著書『アメリカ合州国』の概要と、その表記をめぐる言語学的議論について解説します。
📌 主なポイント
- ✓本多勝一が1970年に発表したルポルタージュ作品である。
- ✓アメリカ社会の構造的な差別や貧困をテーマとしている。
- ✓「合衆国」を「合州国」と表記する独自の解釈に対し、言語学的な観点から批判的な研究が存在する。
『アメリカ合州国』は、ジャーナリストの本多勝一による著書。1970年に朝日新聞社から刊行された。ベトナム戦争期に朝日新聞記者として渡米した著者が、黒人や先住民などの視点からアメリカ社会の差別や貧困を追ったルポルタージュである。
表記の意図と議論
著者は本書において、アメリカ合衆国を「人種(衆)が溶け合って一つの社会を築いているとは言い難い」と評し、単に州が寄り集まった国家であるという解釈から「合衆国」ではなく「合州国」という表記を用いた。
一方で、この表記については言語学的な観点から異論も提示されている。齊藤毅や宮澤俊雅らの研究によれば、「合衆国」という語は清代の通訳官が「United States」の直訳として考案したものであり、「独立して自治権を持った各邦が一致協力して経営する国家」を意味する。そのため、「合衆」を「人種が溶け合う」と解釈することは語源を無視した誤りであるとの指摘がある。
よくある質問
『アメリカ合州国』はどのような本ですか?
ベトナム戦争期のアメリカ社会を、黒人や先住民の視点から取材した本多勝一によるルポルタージュです。
なぜ「合州国」という表記が使われたのですか?
著者は、アメリカ社会が人種的に統合されておらず、州が寄り集まった状態であると捉え、その認識を反映させるためにこの表記を用いました。
「合衆国」という表記に関する異論とはどのようなものですか?
「合衆国」はもともと「United States」の直訳であり、人種の融合を意味する言葉ではないという言語学的な指摘がなされています。
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参考文献
- 松永英明「アメリカ合衆国が「合州国」ではない理由についての資料集」『絵文録ことのは』2004年6月17日。
- 宮澤俊雅「「US漢号」覚書 : 「合衆国」考」『北海道大学文学研究科紀要』第109巻、2003年、101-157頁。
- 千葉謙悟「the United Statesと「合衆國」-中西言語文化接触の視点から-」『英文学フランス文学ドイツ文学ロシヤ文学中国文学』第49巻、2003年、217-227頁。