キリスト教史
アナバプテスト:宗教改革期の急進的改革運動

宗教改革時代に誕生したアナバプテスト(再洗礼派)の歴史、教理的特徴、および現代への影響について解説します。
📌 主なポイント
- ✓アナバプテストは16世紀の宗教改革期に誕生した急進的なキリスト教運動である。
- ✓幼児洗礼を否定し、成人の信仰告白に基づく洗礼を重視した。
- ✓政教分離や絶対平和主義を掲げるグループが多く、歴史的に迫害を受けた。
- ✓現代のメノナイトやアーミッシュなどがこの流れを汲んでいる。
アナバプテスト(Anabaptist)は、16世紀の宗教改革期に、フルドリッヒ・ツヴィングリらの改革運動から分派したキリスト教の教派群を指します。日本語では「再洗礼派」とも訳されますが、これは幼児洗礼を否定し、成人の信仰告白に基づく洗礼を重視した彼らの姿勢を、当時の反対者が批判的に呼んだ名称です。
彼らの運動は「ラディカル・リフォーメーション(急進的宗教改革)」と総称されます。当時の主流派教会や国家権力から「熱狂主義者」として激しい迫害を受け、多くの殉教者を出しました。

教理的特徴
アナバプテストの主要な教理的特徴は、幼児洗礼の否定と成人洗礼の実施です。彼らは、洗礼は個人の自発的な信仰告白に基づくべきであると考えました。また、世俗の権力と教会の分離(政教分離)を強く主張し、絶対平和主義や洗足式といった実践を重んじるグループも存在しました。



歴史的展開と現代への影響
20世紀以降、アナバプテストの運動は再評価が進み、プロテスタント福音派の重要な潮流の一つとして位置づけられるようになりました。現代のメノナイト、アーミッシュ、ブレザレン教会などは、この歴史的流れを汲む教派として知られています。


よくある質問
なぜ「再洗礼派」と呼ばれるのですか?
幼児洗礼を無効とみなし、成人に改めて洗礼を授けたため、反対者から「再洗礼派(Anabaptist)」と批判的に呼ばれたことに由来します。
アナバプテストはプロテスタントに含まれますか?
一般的には宗教改革期のプロテスタントの潮流の一つとされますが、ランドマーク・バプテストのように自らをプロテスタントと称さないグループも存在します。
彼らが平和主義を掲げる理由は?
世と教会の分離を重視し、キリストの教えに従って暴力や兵役を拒否する絶対平和主義を実践するグループが多いためです。
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参考文献
- アリスター・マクグラス著、高柳俊一訳『宗教改革の思想』教文館、2000年。
- 渡辺信夫「第4講 ラディカリズムの離反と教会形成の意識」1996年。