音響機器・記録メディア

アナログレコードの歴史と技術的変遷

アナログレコードの歴史と技術的変遷
音声記録メディアであるアナログレコードの歴史、フォノグラフやグラモフォンからの進化、LPおよびシングル盤の開発、再生技術の仕組みについて解説します。

📌 主なポイント

  • 1877年12月6日にトーマス・エジソンがフォノグラフ(蓄音機)を発明した。
  • 1887年にエミール・ベルリナーが円盤式レコードであるグラモフォンを発明した。
  • 1948年6月21日に米コロムビア社が世界初のLPレコードを発売した。

レコード(record、ビニールレコード、英語ではPhonograph record)は、音声や音楽の「振動」を樹脂などでできた円盤に刻み込み、物理的に記録・再生する音響記録メディアである。

歴史的背景と初期の発明

世界初となる音声記録のシステムは、1857年にフランスのレオン・スコットが発明した「フォノトグラフ」である。これは振動板に取り付けた毛で紙の上に音声を記録する仕組みであったが、再生装置を持たなかったため実用化には至らなかった。その後、1876年の電話機発明を契機として再生可能なシステムの研究が進んだ。

1877年12月6日、トーマス・エジソンが真鍮の円筒に錫箔を貼り、針で音溝を刻む「フォノグラフ(蓄音機)」を発明した。エジソンの円筒式に対し、1887年にはエミール・ベルリナーが水平なターンテーブルを使用する円盤式の「グラモフォン」を発明した。円盤式は原盤からの大量複製が容易であり、中央部にレーベルを貼付できる利点があったため、最終的に市場の主流となった。

円盤式レコードの進化と素材の変化

初期の円盤式レコードは回転数がまちまちであったが、電気式蓄音機の普及に伴い、毎分78回転のSPレコード(Standard Play)が標準となった。材質にはカイガラムシの分泌物であるシェラック(天然樹脂)を粉末と混ぜて固めたものが用いられたが、もろく摩耗しやすかったため、再生のたびに鉄針などの交換が行われた。

第二次世界大戦後、ポリ塩化ビニールを用いたLPレコード(Long Play)およびシングル盤(45回転盤)が実用化された。1948年に米コロムビア社が発売したLPレコードは、微細な音溝(マイクログルーヴ)とポリ塩化ビニール特有の柔軟性により、長時間の高忠実度再生を実現した。これによりクラシック音楽の全曲収録やモダン・ジャズの長時間即興演奏の収録が可能となり、音楽文化の発展に大きく寄与した。

再生技術の仕組み

レコード盤に刻まれた微小な音溝の振幅を針先で読み取り、電気信号に変換して音声を復元する。再生時には、記録時の周波数特性を補正するためにRIAAカーブなどのイコライザが用いられる。ピックアップカートリッジには、ファラデーの電磁誘導の法則を利用する発電方式などが採用されている。

よくある質問

レコードの語源は何ですか?
「記録」を意味する英語の「record」が語源となっています。
SPレコードとLPレコードの主な違いは何ですか?
SPレコードはシェラックを主原料とし回転数が78回転で収録時間が短い一方、LPレコードはポリ塩化ビニールを主原料とし33 1/3回転で長時間再生を実現しています。
ドーナツ盤とは何ですか?
1949年に登場した直径17cmの45回転シングルレコードの通称で、中心の穴が大きくドーナツに似ていることからそう呼ばれています。

関連記事

蓄音機コンパクトディスクテープレコーダーオーディオ機器

参考文献

日本放送協会. “アナログレコード “世界的な人気” 生産現場はフル稼働”. NHKニュース. 2021年11月4日閲覧。
ピエール・ジロトー『レコードのできるまで』白水社、1970年9月10日。