風速計の仕組みと歴史

📌 主なポイント
- ✓風速計の性能を示す指標として、応答性の良さを表す「距離定数」が用いられる。
- ✓日本の気象観測では、風杯型、風車型、超音波式の3形式が主に用いられる。
- ✓超音波式風速計は機械的な可動部を持たないため、メンテナンス性に優れ、僻地での観測に適している。
- ✓風車型風速計は、第二次世界大戦後の日本で航空機技術を応用して独自に発展した。
風速計は、大気の移動速度である風速を測定するための装置です。気象観測において風は風向を伴うベクトル量として扱われるため、風速計には風向を測定する機能が併設されることが一般的です。風速計の性能評価には「距離定数」という指標が用いられ、風速の変化に対する応答性が高いほど、この数値は小さくなります。
主な風速計の種類
気象業務法に基づき、日本の公共的な気象観測では主に以下の形式が用いられています。

風杯型風速計
垂直軸の周囲に3〜4個の半球殻または円錐殻(風杯)を配置した形式です。風を受けると凹面が押されることで回転し、その回転数を電気信号等に変換して風速を算出します。かつては4杯式が主流でしたが、現在は慣性モーメントが小さく応答性に優れた3杯式が一般的です。

風車型風速計
プロペラ状の羽を持つ水平軸型の風速計です。尾翼を備えた流線型の本体が風向に合わせて回転するため、風向と風速を同時に観測可能です。日本では第二次世界大戦後、航空機技術の専門家らによって開発が進められ、気象観測における普及率が高い形式の一つとなっています。

超音波式風速計
超音波の伝播時間が風速によって変化する原理を利用した装置です。機械的な可動部がないため耐候性に優れ、僻地での観測に適しています。また、3組のセンサーを用いることで、水平方向だけでなく上下方向の風速を測定する三次元観測も可能です。

風速計の歴史
風速計の歴史は、圧力式と回転式という二つの系統で発展してきました。1450年頃、レオン・バッティスタ・アルベルティが板の傾きで風圧を測る装置を考案したのが初期の例とされています。その後、18世紀にはジェームズ・リンドがU字管を用いた圧力計を開発し、1889年にウィリアム・ダインスがこれを改良しました。回転式については、1846年にトーマス・ロビンソンが風杯型風速計を考案し、後にパターソンらによって3杯式の優位性が確立されました。
よくある質問
距離定数とは何ですか?
なぜ超音波式風速計は僻地で使われるのですか?
風杯型と風車型の主な違いは何ですか?
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参考文献
- 谷村康行著、『超音波技術 基礎のきそ』、日刊工業新聞社、2007年。
- 堤之智、『気象学と気象予報の発達史 風力計・風速計』、丸善出版、2018年。
- Middleton, W. E. K., Invention of the Meteorological Instruments, The Johns Hopkins Press, 1969.
- 竹内清秀ほか、「気象観測と測器」、『天気』29巻、1982年。