気象測器

風速計の仕組みと歴史

風速計の仕組みと歴史
風速計の主な種類(風杯型、風車型、超音波式)の仕組みや、気象観測における役割、歴史的背景を解説します。

📌 主なポイント

  • 風速計は、風速の変化に対する応答性を評価する「距離定数」という指標を持つ。
  • 風杯型風速計は、回転軸の周りに配置された半球殻が風を受けて回転する仕組みである。
  • 超音波式風速計は、可動部がないため耐候性が高く、メンテナンスが困難な場所での観測に適している。

風速計は、大気の移動速度である風速を測定するための装置です。気象観測において風は風向と風速を伴うベクトルとして扱われるため、多くの風速計には風向を観測する機能が併設または内蔵されています。

主な測定方式

気象観測で一般的に用いられる風速計には、主に以下の種類があります。

風杯型風速計

垂直な回転軸の周りに3つから4つの半球殻(風杯)を配置したものです。風が当たると凹面が押されることで回転し、その回転数から風速を算出します。応答性が高く、古くから気象観測の主力として利用されてきました。

風杯型風速計
風杯型風速計

風車型風速計

プロペラ状の羽を持つ水平軸型の風速計です。尾翼を備えることで常に風上を向く構造となっており、風向と風速を同時に測定できる「風向風速計」として運用されることが一般的です。

風車式風向風速計
風車式風向風速計
風車式風向風速計(横浜地方気象台設置)
風車式風向風速計(横浜地方気象台設置)

超音波式風速計

超音波の伝播時間差を利用して風速を測定します。機械的な可動部がないため耐候性に優れ、僻地や過酷な環境での観測に適しています。三次元超音波風向風速計では、上下方向の風速測定も可能です。

三次元超音波風向風速計
三次元超音波風向風速計

風向計

風向の観測には、矢羽根式の風向計が広く用いられています。これは風見鶏と同様の原理で、風の向きに合わせて回転する構造です。

矢羽根式風向計
矢羽根式風向計

風速計の歴史

風速計の歴史は、15世紀のレオン・バッティスタ・アルベルティによる板の傾きを利用した風力計の考案に遡ります。その後、18世紀のジェームズ・リンドによる圧力管式風力計の開発を経て、19世紀にはトーマス・ロビンソンが風杯型風速計を考案しました。20世紀に入ると、パターソンが3杯式の優位性を提唱し、現在の風杯型風速計の標準的な形状が確立されました。

よくある質問

風速計の距離定数とは何ですか?
風速が急変した際、風速計の指示値が理論上の値の約63%に達するまでに要する時間と風速の積で表される値です。この値が小さいほど、風速計の応答性能が良いことを示します。
なぜ超音波式風速計は僻地で使われるのですか?
機械的な可動部が露出していないため故障が少なく、防氷装置の実装も容易であるため、頻繁な点検が困難な環境でも安定した観測が可能だからです。
風向計と風速計は別々に設置する必要がありますか?
風杯型風速計のように風向計を別途設置する必要があるものもあれば、風車型風速計のように風向と風速を一体で測定できるものもあります。

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参考文献

  • 谷村康行著、『超音波技術 基礎のきそ』、日刊工業新聞社、2007年。
  • 堤之智、『気象学と気象予報の発達史 風力計・風速計』、丸善出版、2018年。
  • 竹内清秀ほか、「気象観測と測器」、『天気』29巻、1982年。
  • Middleton, W. E. K., Invention of the Meteorological Instruments, The Johns Hopkins Press, 1969.