地球科学

南極氷床の構造と気候変動による影響

南極氷床の構造と気候変動による影響
南極大陸の大部分を覆う南極氷床の概要、地理的特徴、および近年の気候変動に伴う氷量の変化と海面上昇への影響について解説します。

📌 主なポイント

  • 南極氷床は地球上の淡水の約61%を保持している。
  • 南極大陸の約98%が氷床に覆われている。
  • 東南極氷床は陸塊上に存在するが、西南極氷床の基盤は海面下2500メートルより深い。
  • 近年の観測では、西南極および東南極の双方で氷量の減少が確認されている。

南極氷床(なんきょくひょうしょう、英語: Antarctic ice sheet)は、地球上に存在する2つの極域氷床のうちの一つであり、南極大陸の約98%を覆う巨大な氷の塊です。地球上で単一の氷塊としては最大規模を誇り、その面積は約1400万平方キロメートル、体積は約3000万立方キロメートルに達します。これは地球上の淡水資源の約61%を占める重要な存在です。

南極氷床は、地形的特徴から大きく「東南極氷床」と「西南極氷床」に分類されます。東南極の氷床は強固な陸塊の上に形成されていますが、西南極の氷床が乗っている岩盤は海面下2500メートルよりも深い場所に位置しており、構造的に異なる特性を持っています。

衛星写真から作成された南極大陸の合成画像
衛星写真から作成された南極大陸の合成画像

気候変動の影響と氷量の変化

近年の観測により、南極大陸全体で温暖化の傾向が確認されています。特に西南極氷床では、過去50年間で10年あたり0.1度以上の気温上昇が観測されており、冬から春にかけての温暖化が顕著です。東南極においても、かつては安定していると考えられていましたが、2009年の研究報告では氷量の減少が確認されており、大陸全体での氷床融解に対する懸念が高まっています。

1981年から2007年までの南極表面における温度変化の傾向
1981年から2007年までの南極表面における温度変化の傾向。赤色は昇温、青色は降温を示している。

氷床の質量バランスについては、かつては増加傾向にある地域も報告されていましたが、近年の衛星観測データ(重力測定など)に基づくと、大陸全体として氷の減少が進行していることが示唆されています。特にパイン島氷河などの氷流の加速が、西南極氷床の質量減少の主要な要因となっています。

海面上昇への寄与

南極氷床の融解は、世界的な海面上昇に直結する重要な要因です。IPCC第4次評価報告書では、氷床の融解速度の変化を考慮しない予測値が示されていましたが、その後の最新の研究では、氷床の融解速度の変化を考慮した場合、今世紀中に海面上昇が1~2メートルを超える可能性があると複数の研究グループから指摘されています。

よくある質問

南極氷床は地球の淡水のどれくらいを占めていますか?
地球上に存在する淡水の約61%を占めています。
東南極と西南極の氷床にはどのような違いがありますか?
東南極氷床は強固な陸塊の上にありますが、西南極氷床は海面下2500メートルよりも深い岩盤の上に位置しています。
南極の氷は増えていますか、減っていますか?
かつては増加地域も報告されていましたが、近年の観測では大陸全体として氷の減少が進行していることが確認されています。

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参考文献

  • Steig E.J. et al. (2009). "Warming of the Antarctic ice-sheet surface since the 1957 International Geophysical Year". Nature, 457, 459–462.
  • Rignot E. et al. (2008). "Recent Antarctic ice mass loss from radar interferometry and regional climate modelling". Nature Geoscience, 1, 106–110.
  • Chen J. L. et al. (2009). "Accelerated Antarctic ice loss from satellite gravity measurements". Nature Geoscience.
  • NASA Earth Observatory (2007). "Two Decades of Temperature Change in Antarctica".