無線工学

空中線電力の定義と技術的要件

無線局がアンテナに供給する電力である「空中線電力」の定義、電波法に基づく分類、および測定方法について解説します。

📌 主なポイント

  • ✓空中線電力は送信機からアンテナ系に供給される電力を指す。
  • ✓電波法施行規則により、尖頭電力、平均電力、搬送波電力、規格電力の4つに定義される。
  • ✓無線局は免許状に記載された電力の範囲内で、通信に必要な最小限の電力で運用しなければならない。
  • ✓測定には主にパワーメータが使用される。

空中線電力(くうちゅうせんでんりょく)とは、無線送信機が空中線(アンテナ)系に対して供給する無線周波数の電力を指します。一般には「送信出力」とも呼ばれ、無線局の免許において指定される重要な技術的パラメータの一つです。

定義と分類

日本の電波法施行規則第2条第1項では、空中線電力を以下の4種類に分類しています。

  • 尖頭電力(pX):通常の動作状態において、変調包絡線の最高尖頭における無線周波数1サイクルの間に供給される平均電力。
  • 平均電力(pY):送信機から供給される電力を、変調の最低周波数周期と比較して十分に長い時間にわたって平均したもの。
  • 搬送波電力(pZ):変調のない状態における無線周波数1サイクルの間に供給される平均電力。
  • 規格電力:終段真空管の使用状態における出力規格値。

これらの電力値は、電波の型式や変調方式に応じて、無線局免許状に記載される形式が定められています。

運用と許容偏差

電波法第54条により、無線局は免許状に記載された空中線電力の範囲内で、かつ通信に必要な最小限の電力で運用することが義務付けられています。送信設備には、無線設備規則第14条に基づき、電力の上限および下限の許容偏差が設定されています。これにより、混信の防止と通信の品質確保が図られています。なお、アマチュア無線局など、一部の無線局では下限値が規定されていない場合があります。

測定方法

空中線電力の測定には、主にパワーメータが用いられます。現代の測定機器では、マイクロプロセッサ制御による自動校正機能を備えたパワーセンサを組み合わせる手法が一般的です。

よくある質問

空中線電力と実効輻射電力(ERP)の違いは何ですか?
空中線電力は送信機からアンテナへ供給される電力そのものを指しますが、実効輻射電力は、アンテナの利得や給電線の損失を加味し、実際に空間へ放射される電波の強さを表したものです。
なぜ空中線電力に下限があるのですか?
確実な通信を維持するためです。ただし、アマチュア無線など、通信の確実性が厳格に求められない無線局では下限が設定されていない場合があります。

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参考文献

総務省 電波法施行規則 第2条第1項
総務省 電波法 第54条
総務省 無線設備規則 第14条