アルケー:古代ギリシア哲学における万物の根源と原理
📌 主なポイント
- ✓アルケー(ἀρχή)は、古代ギリシア語で「始源」「根源」「原理」を意味する哲学用語である。
- ✓古代ギリシアのアナクシマンドロスがはじめてアルケーの語を用いたとされる。
- ✓アリストテレスの『形而上学』では、タレスが万物の根源を「水」としたことが伝えられている。
- ✓新約聖書の『ヨハネによる福音書』冒頭でもアルケーの概念が用いられ、のちの中世スコラ哲学に継承された。
アルケー(古希: ἀρχή)とは、古代ギリシア語で「はじめ」「始源」「原初」「根源」「原理」「根拠」などを意味する言葉である。哲学用語としては、主に「万物の始源」や「宇宙の根源的原理」を指して用いられる。これに対する概念として、終わりや目標を意味する「テロス」がある。
古代ギリシアの自然哲学とアルケー
アルケーの概念は、主にイオニア地方のミレトス学派を中心とした自然哲学の中で深く議論された。古代ギリシアの哲学者アナクシマンドロスが、はじめてこの「アルケー」という語を用いたとされている。
アリストテレスはその著書『形而上学』において、哲学の祖であるミレトスのタレスが万物の根源およびテロスを「水」と考えたことを伝えている。タレスは、大地が水の上に浮かんでいるという自然観を持っていた。その後も哲学者たちによって多様なアルケーが提唱された。例えば、ヘラクレイトスは「火」をロゴスに関連づけて世界を説明し、ピタゴラスは「数」を、エンペドクレースは土・水・火・空気の「四大(リゾーマタ)」を、デモクリトスは不可分体である「アトモス」をそれぞれ根源に据えた。また、アナクシマンドロスについては、無限定者である「アペイロン」をアルケーと考えたとアリストテレスの著作に伝えられている。
キリスト教神学における受容
『新約聖書』の『ヨハネによる福音書』の冒頭には、コイネーギリシア語で「Ἐν ἀρχῇ ἦν ὁ λόグス(初めにロゴスがあった)」と記されている。ここで使われている「アルケー」は、単なる時間的な始点だけでなく、根源的原理としての意味合いをも帯びている。
中世のスコラ哲学に大きな影響を与えたラテン語訳聖書『ウルガータ聖書』では、この冒頭部分が「In principio erat verbum」と翻訳された。ラテン語の「プリンシピウム(principium)」には「はじめ」だけでなく「原理」という意味も含まれており、アルケーに関する問いは神やロゴス、そしてイエス・キリストをめぐる中世の哲学的・神学的考察へと引き継がれていった。
よくある質問
アルケーとはどのような意味ですか?
アルケーの対義語は何ですか?
最初にアルケーという言葉を用いたのは誰ですか?
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参考文献
- “アルケーとは”. コトバンク. 2019年11月28日閲覧。
- Ἀριστοτέλης (ギリシア語), メタフスカ/Βιβλίο Α, ウィキソースより閲覧。
- 山田哲也 (2008年5月8日). “タレス(B.C.620前後?-B.C.560前後?) 1、アルケー(始源)”. Webで読む西洋テツガク史. 2011年11月19日閲覧。
- アリストテレス『形而上学』.
- Ioannes (ラテン語), Biblia Sacra Vulgata (Stuttgartensia)/Ioannes, ウィキソースより閲覧。