天文学
天文現象としての食(日食・月食・掩蔽)

天文学における「食」とは、ある天体が他の天体によって隠される現象の総称です。日食、月食、掩蔽、通過などの仕組みと分類を解説します。
📌 主なポイント
- ✓食とは、ある天体が別の天体によって隠される、あるいは影に入る天文現象の総称である。
- ✓観測者が隠される天体を見る現象を「掩蔽」、影を観測する現象を「影による食」と区別する。
- ✓現代の天文学用語では「食」と表記することが推奨されている。
- ✓天王星や海王星の環は、恒星食の観測を通じて発見された。
天文学における食(しょく、英語: eclipse)とは、ある天体が別の天体の動きによって隠される、あるいは影に入ることで観測される天文現象の総称です。観測者が光源天体からの光を遮る天体を直接見ているのか、あるいは遮られた影を観測しているのかによって、大きく分類されます。
食の分類と仕組み
食は、観測される光量の変化に基づいて主に「掩蔽(えんぺい)」と「影による食」に分けられます。
掩蔽(えんぺい)
手前にある天体が奥にある天体を隠す現象です。隠す天体の視直径が隠される天体よりも極端に小さい場合、その現象は「通過」と呼ばれます。特に隠される天体が太陽である場合は「太陽面通過」と称されます。
影による食
ある天体が別の天体に投射した影を観測する現象です。地球から見て月が地球の影に入る「月食」が代表的な例です。逆に、地球から見て月が太陽を隠す現象は「日食」と呼ばれます。

主な食の形態
- 日食:月が太陽を隠す現象。火星など他の惑星でも、衛星が太陽を横切ることで部分的な日食や太陽面通過が観測されます。
- 星食:月や惑星が恒星を隠す現象。天王星や海王星の環は、この星食による恒星の減光観測から発見されました。
- 食連星:連星系において、軌道面が観測者の方向と一致している場合、互いの掩蔽によって周期的に光度が変化する現象。
- 衛星の食:木星や土星のような巨大惑星において、衛星が惑星の影に入る現象。

表記と歴史
日本語の「食」は、古くから天体の欠けを食物の囓り跡に例えたことに由来します。歴史的文献では「蝕」と表記されることもありましたが、1956年の国語審議会を経て、現代の天文学用語としては「食」と表記することが一般的です。
よくある質問
「食」と「蝕」のどちらを使うべきですか?
現代の天文学の専門用語としては「食」を用いるのが一般的です。かつては混在していましたが、国語審議会の方針により「食」が推奨されています。
日食と月食の違いは何ですか?
日食は月が太陽を隠す「掩蔽」に近い現象であり、月食は月が地球の影に入る「影による食」です。
食は地球以外でも起こりますか?
はい、起こります。火星における衛星の太陽面通過や、木星の衛星が惑星の影に入る現象などが観測されています。
関連記事
日食月食掩蔽太陽面通過食連星
参考文献
- 『オックスフォード天文学辞典』朝倉書店
- 『明鏡国語辞典第二版』
- 『星の古記録』斎藤国治著、岩波新書
- 文部省 学術用語集 天文学編