航空機の姿勢指示器:構造、機能と計器飛行における役割

📌 主なポイント
- ✓姿勢指示器は航空機のピッチやロールといった姿勢を水平線と比較して示す重要な航空計器である。
- ✓西側製と東側製では、背景の球体が動くか自機のシンボルマークが動くかという表示上の違いが存在する。
- ✓グラスコックピットの普及に伴い、現代ではPFD(プライマリ・フライト・ディスプレイ)内に統合表示されることが多い。
姿勢指示器(しせいしじき、英語: attitude indicator)とは、航空機に搭載される必須の航空計器の一つである。人工水準器、人工水平儀、あるいは姿勢儀とも呼ばれ、英語の頭文字をとってAI、または計器飛行用誘導指示装置を含むADI(attitude director indicator)などと略される。

基本構造と表示方式
姿勢指示器は、航空機のピッチ(機首の上下)やロール(翼の傾き)の度合いを、水平線と比較してパイロットに視覚的に提示する。計器の背景には、空を青色または水色、地面や水面を茶色または黒色に塗り分けた球体が用いられ、手前に固定または連動する自機のシンボルマークとの対比によって機体姿勢を直感的に把握できる。

製造国や設計思想によって表示方式に違いが存在する。西側諸国で製造された航空機では、自機のシンボルマークが計器盤面に固定されており、背景の2色に塗り分けられた球体が回転することで姿勢を表現する。これに対し、東側諸国で製造された航空機では背景が固定され、自機のシンボルマーク側が回転して姿勢を示す仕組みになっている。この表示方法の違いが、過去に一部の航空事故を引き起こす要因となった例も指摘されている。
なお、固定翼機においては揚力を得るために翼の迎角が必要となるため、水平飛行中であっても概ね機首上げ姿勢を維持する。そのため、水平飛行中の姿勢指示器のピッチ表示が必ずしも水平(ゼロ)を示すわけではなく、水平飛行の維持には昇降率計などの別計器が用いられる。
技術の変遷とグラスコックピット
かつてはジャイロスコープを利用した機械式の姿勢指示器が主流であり、大型機では慣性航法装置内ユニット(INUやIRU)からの姿勢信号がアナログ計器に反映されていた。現代の航空機ではグラスコックピット化が進み、プライマリ・フライト・ディスプレイ(PFD)上に速度計や高度計、昇降計と共に統合表示されることが一般的となっている。

また、デジタル化された計器の電源喪失などの緊急事態に備え、予備計器として旧式のジャイロスコープ式姿勢指示器や、非常用電源で駆動する独立したデジタル計器が設置される場合がある。
計器飛行と空間識失調
夜間や雲の中など、視覚から外部の地平線を認識できない状況下で人間の平衡感覚のみに頼って操縦を行うと、実際の機体姿勢とは異なる感覚に陥る空間識失調を引き起こすことがある。国土交通省航空局や一般財団法人航空医学研究センターなどの関係機関では、自身の平衡感覚と姿勢指示器の表示が食い違う場合には、感覚ではなく計器を信頼して操縦にあたるよう注意喚起を行っている。
よくある質問
姿勢指示器は何を示す計器ですか?
水平飛行をしているとき、姿勢指示器のピッチは必ずゼロを示しますか?
グラスコックピット機では姿勢指示器はどうなっていますか?
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参考文献
- “空間識失調”. 国土交通省航空局安全部運航安全課. 2026年3月19日閲覧。
- “空間識失調”. 一般財団法人航空医学研究センター. 2026年3月19日閲覧。
- “操縦室(7)グラスコックピット(その1)”. マイナビニュース テックプラス (2016年12月20日). 2026年3月19日閲覧。