伝統工芸
アットゥㇱ:アイヌ民族の伝統的な樹皮衣

アットゥㇱは、オヒョウなどの樹皮から作られるアイヌ民族の伝統的な織物です。その歴史、製作技法、および文化的意義について解説します。
📌 主なポイント
- ✓アットゥㇱはオヒョウなどの樹皮から作られるアイヌ民族の伝統的な樹皮衣である。
- ✓水に強く耐久性に優れているため、かつては漁師や船乗りの作業着として珍重された。
- ✓2013年、二風谷アットゥㇱが北海道の工芸品として初めて経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定された。
アットゥㇱ(アイヌ語: Attus)は、主にオヒョウやハルニレなどの樹皮から採取した繊維を用いて織られる、アイヌ民族の伝統的な織物およびその衣服を指します。アイヌ語で「att(オヒョウニレ)」の「rusi(皮)」を意味する言葉に由来します。
製作技法
アットゥㇱの製作は、樹皮の採取から始まります。主に5月から6月頃、樹木に水分が多く含まれる時期に、表皮の内側にある靱皮(じんぴ)を剥ぎ取ります。採取された樹皮は、沼の水や温泉に漬け込む、あるいは灰汁を加えて煮ることで柔らかくし、細かく裂いて繊維を取り出します。これらを撚り合わせて糸を作り、腰機(こしばた)を用いて布へと織り上げます。

歴史と用途
アットゥㇱは17世紀頃から記録に見られ、北海道を中心に発展しました。水に強く乾きやすいという特性から、漁師や船乗りの作業着として重宝され、交易品としても流通しました。江戸時代には、鰊漁に従事する和人にもその耐久性が評価され、広く利用されていたことが屏風絵などの記録から確認されています。

普段着としては無地のものが一般的ですが、晴れ着には木綿布を縫い付け、アイヌ文様と呼ばれる刺繍やアップリケが施されます。この文様は魔除けの意味を持ち、線の始点と終点が角ばっているのが特徴です。

現代における継承
現在も北海道各地で伝統的な技法が受け継がれています。2013年には、北海道平取町二風谷で制作される「二風谷アットゥㇱ」が、経済産業大臣指定伝統的工芸品として指定されました。

よくある質問
アットゥㇱの原材料は何ですか?
主にオヒョウやハルニレなどのニレ科の樹木、またはシナノキなどの樹皮から採取される靱皮(じんぴ)が使われます。
アットゥㇱはどのような場面で着られますか?
かつては日常の作業着として広く使われていました。現在では、アイヌ民族の伝統衣装として儀礼や祭事の際に着用されるほか、工芸品としても制作されています。
二風谷アットゥㇱとは何ですか?
北海道平取町二風谷で伝承されているアットゥㇱの技法です。2013年に経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されました。
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アイヌ伝統的工芸品アイヌ文様二風谷
参考文献
- 国立アイヌ民族博物館アイヌ語アーカイブ「Attus」
- 経済産業省「二風谷イタ」「二風谷アットゥㇱ」「紀州へら竿」を伝統的工芸品として指定しました(2013年3月8日)
- 津田命子『伝統のアイヌ文様構成法によるアイヌ刺しゅう入門 カパラミプ編』株式会社クルーズ、2014年
- 横塚眞己人『みんなをつなぐ アイヌの糸』ほるぷ出版、2025年