自動車用空調装置の歴史と構造

📌 主なポイント
- ✓カーエアコンはヒーターコアとエバポレーターを通過する空気を混合する方式の採用により、幅広い温度域の調整と除湿暖房を可能にした。
- ✓初期の暖房はエンジンの排熱を利用することが多く、現代の電気自動車ではヒートポンプや電熱線が活用されている。
- ✓1954年にナッシュ社が発表した「オール・ウェザーアイ」は、温水式ヒーターとコンプレッサー式クーラーを統合した世界初のシステムである。
カーエアコンとは、自動車の車内環境を快適に保つために装備されているエア・コンディショナーである。初期の車載空調装置は、ヒーターやクーラーがそれぞれ独立して装備されており、温度調節機能はほとんど存在しなかった。その後、ヒーターコアとエバポレーターを通過する空気を混合する方式が考案され、幅広い温度域への対応と除湿暖房が可能となった。
構造と作動原理
暖房は、水冷エンジン搭載車であればエンジンの冷却水(ロングライフクーラント)をヒーターコアに引き込むことで温風を得るのが一般的である。空冷エンジンでは排気マニホールドのヒートエクスチェンジャーや燃焼式ヒーターを利用する。一方、電動車(ハイブリッドカーやバッテリー式電気自動車)では、原動機の廃熱を利用できない場合があり、電動インバーターコンプレッサーを用いたヒートポンプによる冷暖房が主として採用されている。
冷房には蒸気圧縮冷凍サイクルが利用され、コンプレッサーの駆動は従来エンジンの回転によって行われてきたが、電動車では専用の電動コンプレッサーが広く採用されている。また、冷房サイクルを通した乾燥した送風は、窓ガラスの曇り取りや霜取りにも活用される。
歴史的変遷
カーエアコンの歴史は第二次大戦以前のアメリカ車やドイツ車に遡る。1930年代にミスト散布式カークーラーが登場し、1939年にはパッカードがコンプレッサー式冷房装置を導入した。1938年にはナッシュ・モーターズが温水式カーヒーターを開発し、1954年には暖房と冷房を統合した世界初のシステム「オール・ウェザーアイ」が登場した。
日本車においては、1955年の初代トヨタ・クラウンが外国車並みの温水式ヒーターを初搭載し、ヤナセによる吊り下げ式カークーラーの開発などを経て、1970年代以降にディーラーオプションとして普及が進んだ。1980年代以降は物品税の廃止なども相まって、ダッシュボード内部に組み込まれるインライン化が急速に進展した。
冷媒の環境対応
冷媒としては長らくフロン12(R12)が使用されていたが、オゾン層保護の観点から1990年代以降はR134aへの切り替えが進められた。さらに地球温暖化係数の低いHFO-1234yfへの移行が欧州連合(EU)の規制を発端として進められている。
よくある質問
カーエアコンの暖房はどのように作動しますか?
カーエアコンの冷房が燃費に与える影響は何ですか?
カーエアコンの冷媒にはどのような変遷がありますか?
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参考文献
- ヒートポンプ - テスラ辞典
- 高橋恒吏、松永健、乾究. “ハイブリッド車向け電動コンプレッサ空調システムの製品開発”. デンソー.
- 蛭間淳之、進藤祐輔. “ハイブリッド車用電動コンプレッサのEMI事例”. デンソー, 2011.
- 『Fit 取扱説明書』本田技研工業, 2002年, 166-171ページ.
- ヤナセとカークーラーの製造 1955~ - ヤナセ