交通技術

自動操縦装置の仕組みと各交通機関における活用

自動操縦装置の仕組みと各交通機関における活用
航空機や船舶、鉄道などの乗り物における自動操縦装置(オートパイロット)の仕組み、役割、および各分野での技術的特徴について解説します。

📌 主なポイント

  • オートパイロットは、乗り物の進行方向や速度などを人の手に代わって機械が制御する装置・システムの総称である。
  • 航空機のオートパイロットは、巡航や計器着陸装置を用いた自動着陸などに対応しているが、離陸については基本的に人間が手動で行う。
  • 船舶用オートパイロットには、設定方位を保つ方位制御システムや、計画航路を追跡する航路制御システムが含まれる。
  • 鉄道においては軌道上を走行するという特性から、1970年代以降は自動列車運転装置(ATO)による自動運転が実用化されている。

オートパイロット(英語: autopilot)とは、乗り物を人の手によってではなく、機械装置により自動的に操縦する装置・システムを指す名称である。自動操舵装置自動操縦とも呼ばれ、進行方向や速度などを人間の手に代わって機械が制御する。

航空機におけるオートパイロット

現代の航空機の操縦システムにおいて、オートパイロットは広く導入されている。離陸に関しては人間(パイロット)が手動で行う必要があるが、離陸後に安全高度に達した後の巡航、空港への接近(アプローチ)、そして着陸まで、ほとんどの飛行段階で用いることができる自動操縦システムが用意されている。

ボーイング747-200のオートパイロットコントロールパネル
ボーイング747-200のオートパイロットコントロールパネル

単純なシステムでは所定の方角と高度のみを維持してパイロットの負担を軽減するが、高度なシステムでは飛行管理装置(FMS)に入力された飛行計画に従った方角・高度の自動操作に加え、推力(速度)の調整も行われる。オートパイロットによる推力の調整機構はオートスロットルと呼ばれる。

エアバスA340型機のオートパイロット設定パネル
エアバスA340型機のオートパイロット設定パネル

また、センサーからの情報を元にトリムを最適値に保つオートトリムや、離陸・巡航・着陸で必要となる定型作業をモード切替により実現する機能が統合されている。全翼機などのように機体の飛行特性を補正するためにも利用され、ボーイング737MAXでは手動操縦時に一定の条件に入ると水平安定板を機首下げ方向にする操縦特性補助システム(MCAS)が搭載されている。

マルチコプターに追加するオートパイロット装置
マルチコプターに追加するオートパイロット装置

作動は専用のスイッチで行い、解除は操縦桿を操作するだけで可能な仕組みになっているものが大半である。ただし、機器の作動不良に起因する重大なインシデントも過去に発生しており、機器の過信には絶えず警鐘が鳴らされている。

船舶におけるオートパイロット

船舶用オートパイロットは、設定方位に船首方位を追従させる方位制御システム(自動針路保持装置)や、計画航路に船体位置を追跡させる航路制御システムに分類される。

ウインドベーン
ウインドベーン

セーリング・クルーザー用としては、風に対する船の向きを一定に保つ機械式のウインドベーンや、GPSデータを用いて針路の変化を計算しティラー・バーを操作するティラーパイロットが古くから利用されている。

針路を数字で指定することができるティラーパイロット
針路を数字で指定することができるティラーパイロット

大型船舶においてはあらかじめ入力・設定した航路を辿るオートパイロットが普及しているが、周囲の障害物を自動検知したり衝突を自動的に避けたりする機能は2023年時点では標準搭載されていない。接岸時の操船に関しても補助的システムにとどまっていたが、2021年には商船三井が通常営業を行う大型カーフェリーによる自動離着桟実験に世界で初めて成功している。

鉄道における自動運転

鉄道においては、敷設された軌道上を走行するため車両側で制御する項目が事実上速度のみであり、技術的難易度が比較的低い。1970年代以降、自動列車運転装置(ATO)による運行が実現している。

よくある質問

航空機のオートパイロットで自動化できない操作は何ですか?
現代の航空機において、離陸の操作は基本的に人間のパイロットが手動で行う必要があります。
船舶のオートパイロットには自動で衝突を避ける機能がありますか?
2023年時点の大型船舶用オートパイロットには、周囲の障害物を自動検知したり衝突を自動で避けたりする機能は搭載されていません。
鉄道の自動運転はいつ頃から実現していますか?
鉄道においては、1970年代以降に自動列車運転装置(ATO)による運行が実現しています。

関連記事

航空機船舶自動列車運転装置計器着陸装置飛行管理装置

参考文献

  • 「自動操舵装置」コトバンク。
  • 「旅客機着陸「自動/手動」どう使い分け? 実は「楽する」ためじゃない!ANA操縦士に聞く」乗りものニュース、2021年4月25日。
  • 「旅客機の「自動操縦」なぜ「離陸」はないの? 巡航 そして着陸も自動化進む現代だが…」乗りものニュース、2020年3月14日。
  • 松田真司「船舶用オートパイロット」計測と制御、2011年。
  • 羽根冬希「《第13回》船舶用オートパイロットの制御技術」計測と制御、2012年。