航空機用補助動力装置(APU)の概要と役割

📌 主なポイント
- ✓APUは航空機のメインエンジンとは独立した小型の動力源であり、電力、油圧、圧縮空気の供給を行う。
- ✓ジェット旅客機におけるガスタービンAPUの初搭載は1963年のボーイング727である。
- ✓空港では騒音や排気ガス削減のため、APUの代わりに地上動力装置(GPU)やeGPUの使用が推奨されている。
- ✓軍用機やスペースシャトルでは、緊急時の油圧や電力供給を目的とした特殊なAPUが搭載される。
補助動力装置(APU: Auxiliary Power Unit)は、航空機の推進用エンジンとは独立して搭載される小型の動力源です。主に駐機中の機体各部への電力供給、空調用の圧縮空気供給、およびメインエンジンの始動を目的として使用されます。

航空機における役割
ジェットエンジンを搭載した航空機では、始動時に高圧の圧縮空気が必要です。APUを搭載することで、地上設備がない空港でも自力でエンジンを始動することが可能となります。また、駐機中にメインエンジンを停止した状態でも、機内の照明や空調、アビオニクス(電子機器)へ電力を安定供給できるため、燃料消費の削減や騒音低減に寄与します。

ETOPS(双発機による長距離飛行)規格では、緊急時に備えて飛行中のAPU始動能力が求められる場合があり、安全運航において重要な役割を担っています。一方で、短距離路線機などでは重量削減のためAPUを搭載せず、エンジンを片側のみ稼働させる「ホテルモード」で対応する機種もあります。

地上設備との関係
空港駐機中には、APUの代わりに地上施設から電力を供給する地上動力装置(GPU)や、圧縮空気を供給するエアスタートユニット(ASU)が使用されることが一般的です。近年では、環境負荷低減のため、バッテリー式の「eGPU」の導入も進んでいます。


軍用機における特殊なAPU
軍用機では、エンジンの始動に特化したジェット燃料始動装置(JFS)や、緊急時に電力・油圧を供給する非常用電源装置(EPU)が搭載されることがあります。


航空機以外の応用
APUの概念は戦車などの軍用車両にも適用されています。現代の戦車は電子機器の電力消費が大きいため、メインエンジンとは別に補助エンジンを搭載し、停車中の電力供給を行う例が増えています。また、スペースシャトルのような宇宙船においても、操縦翼面やブレーキを駆動するための油圧供給源としてAPUが重要な役割を果たしていました。
よくある質問
なぜ航空機にはAPUが必要なのですか?
すべての航空機にAPUは搭載されていますか?
APUとGPUの違いは何ですか?
関連記事
参考文献
- Wragg, David W. (1973). A Dictionary of Aviation. Osprey. p. 45. ISBN 9780850451634.
- 空港地上技術者インタビュー - 北海道 未来のしごとの参考書 (2025年8月31日閲覧)
- JAL初導入のハイテク地上電源車「eGPU」について - agora plus (2025年8月31日閲覧)
- University of Tennessee, Knoxville. H-53E Super Stallion/Sea Dragon Auxiliary Power Plant Power Survey.
- 中部国際空港 セントレア. GPU(地上動力装置) - 脱炭素化に向けた取り組み (2025年8月31日閲覧)
- Defence.Capital. India Army to procure 3,250 auxiliary power units for Russian-origin battle tanks (2025年7月26日閲覧)
- NASA. 35 Years Ago, STS-9: The First Spacelab Science Mission (2022年1月28日閲覧)