物理学

バール (圧力の単位)

バール(bar)は、圧力の単位の一つです。定義や歴史、国際単位系(SI)との関係、気象分野でのミリバールからヘクトパスカルへの移行の背景について解説します。

📌 主なポイント

  • バールは100,000パスカル(10⁵ Pa)と定義される圧力の単位である。
  • 国際単位系(SI)においては一貫性のない非SI単位として分類される。
  • 気象分野では、かつて使用されていたミリバールと数値が等しいヘクトパスカルが現在主流である。

バール(英: bar)は、圧力の単位である。100,000パスカル(Pa)に等しいと定義されている。メートル法系の単位であるが、国際単位系(SI)においては一貫性を持たない非SI単位として扱われる。

定義と物理的性質

バールの定義は、1平方センチメートル(cm²)の面積に1メガダイン(10⁶ dyn)の力が作用する時の圧力である。これを国際単位系(SI)のパスカルで表すと、1 bar = 10⁵ Pa = 10⁵ N/m² となる。1気圧(atm)は正確に101,325 Paであるため、1バールは約0.987気圧に相当する。

バールは、CGS単位系およびMKS単位系(SI)のいずれにおいても、基本単位から組み立てる際に10の冪乗の係数を必要とするため、一貫性のない単位とみなされる。このため、SIの公式文書では、かつては「その他の非SI単位」として記載されていたが、現行の第9版(2019年)以降は記載されていない。

歴史と名称の由来

バールの名称は、重さを意味するギリシア語の「βάρος(báros)」に由来する。1911年に気象学者のヴィルヘルム・ビヤークネスが提唱し、1914年から気象通報において使用され始めた。

気象分野における単位の変遷

かつて気象観測では、バールの1/1000であるミリバール(mbar)が広く用いられていた。しかし、国際的な計量単位の標準化に伴い、多くの国でパスカルを基調とした単位への移行が進められた。

日本では、1992年12月に気象分野の単位がミリバールからヘクトパスカル(hPa)へ変更された。1ミリバールは1ヘクトパスカルと数値が等しいため、この変更により従来の観測データや気圧計の数値をそのまま引き継ぐことが可能となった。キロパスカル(kPa)を採用した場合、数値が変更され膨大な過去データの変換が必要となるため、実務上の利便性を考慮してヘクトパスカルが選ばれた経緯がある。

日本における法的位置付け

日本では計量法においてバールが計量単位として定められており、使用分野に制限はない。ただし、圧力の計量にはSI単位であるパスカルの使用が推奨されている。

よくある質問

1バールは何パスカルですか?
1バールは100,000パスカル(10⁵ Pa)です。
なぜミリバールからヘクトパスカルに変わったのですか?
1ミリバールと1ヘクトパスカルは数値が等しいため、過去の気象観測データや既存の気圧計の数値をそのまま利用でき、移行に伴う混乱やデータ変換の手間を最小限に抑えられたためです。
バールはSI単位ですか?
いいえ、バールはSI単位ではありません。SI単位系の一貫性を持たない非SI単位です。

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参考文献

  • 独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター『国際文書 国際単位系 (SI)』(第8版日本語版)、2006年。
  • e-Gov法令検索『計量法 別表第一』。
  • 丸善『丸善単位の辞典』二村隆夫監修、2002年。
  • ウェザーニュース「なぜ『ミリバール』が『ヘクトパスカル』に変わったのか?」