地球科学

バルハン砂丘:形態と砂丘群の動態メカニズム

バルハン砂丘:形態と砂丘群の動態メカニズム
バルハン砂丘(三日月型砂丘)の形態的特徴、風下側のスリップフェイス、および砂丘群同士の干渉やソリトン的振る舞いに関する科学的知見を解説します。

📌 主なポイント

  • バルハン砂丘は円弧状の稜線を持つ三日月型の砂丘であり、風下側に2つの角を持つ。
  • 風下側のスリップフェイスの角度は約32度(安息角)であり、風上側の斜面は約15度である。
  • 砂丘群の移動時には、ソリトン(孤立波)に似た干渉・すれ違いの挙動が確認されている。

バルハン砂丘(バルハンさきゅう、英語:Barchan dune)は、円弧状の砂の稜線を持ち、均質な砂で構成される砂丘である。日本では一般に三日月型砂丘とも呼ばれる。

バルハン(ナミブ砂漠)
バルハン(ナミブ砂漠)

形態的特徴

このタイプの砂丘は、風下側に面した2つの「角」を持つことが特徴である。風下側の斜面であるスリップ・フェイスの角度は安息角、もしくはおよそ32度を示す。一方、風上側の斜面は風によって砂が密集しており、約15度に達することがある。

砂丘群の動態とソリトン的振る舞い

単体のバルハン群の規模は、数メートルから100メートル程度に広じることがあり、2つの角の先の幅も同様のスケールを持つ。単純なバルハン群が合体し、風によって移動する合成バルハンやメガバルハン群を形成する場合もある。さらに、これらが何百キロメートルにもわたって広がる砂の尾根へと発展することもある。

バルハン群が移動する過程において、小さな砂丘群が大きな砂丘群に追いつき、後方に衝突した後に反対側から抜け出す現象が観察される。Schwämmle and Herrmann (2003) の研究によれば、砂の粒子自体が互いをすり抜けるわけではないものの、光波や音波、水波などのソリトン(孤立波)に類似した振る舞いを示すことが明らかにされている。すなわち、小さな砂丘が前方の大きな砂丘に追突した際、風によって前方の砂丘の砂が吹き飛ばされて縮小する一方、後方の砂丘の上に新たな砂が積み立てられる。結果として、後方の砂丘が前方の砂丘と同じ大きさに成長し、小さくなった元の前方の砂丘が再び前方に離れていくメカニズムをとる。

主な分布

アメリカ合衆国コロラド州のグレートサンドデューンズ国立公園などにおいて、壮大なバルハン群を見ることができる。

よくある質問

バルハン砂丘とはどのような砂丘ですか?
円弧状の砂の稜線を持ち、風下側に2つの角を持つ均質な砂で構成された砂丘です。日本では三日月型砂丘とも呼ばれます。
スリップフェイスの角度は何度ですか?
風下側の斜面であるスリップフェイスの角度は安息角であり、およそ32度です。
バルハン群が衝突するとどうなりますか?
小さな砂丘が大きな砂丘に追いついて衝突した際、風による砂の吹き飛ばしと堆積が起こり、あたかもソリトンのように小さな砂丘が前方へすり抜けていく現象が観察されます。

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参考文献

Schwämmle, V., and H.J. Herrmann(2003).“Solitary wave behaviour of sand dunes”.Nature 426: 619-620. H. Elbelrhiti, P. Claudin, and B. Andreotti(2005).“Field evidence for surface-wave-induced instability of sand dunes”.Nature 437: 720-723.