無機化学

水酸化バリウムの化学的特性と用途

水酸化バリウムの化学的特性と用途
水酸化バリウム(Ba(OH)2)の化学的性質、調製方法、および分析化学や有機合成における用途について解説します。

📌 主なポイント

  • 化学式は Ba(OH)2 であり、バリウムイオンと水酸化物イオンからなる。
  • 水溶液は「バリタ水」と呼ばれ、二酸化炭素と反応して炭酸バリウムを生成する。
  • 強塩基であり、分析化学における滴定や有機合成の触媒として利用される。
  • 毒性が強く、日本では劇物に指定されている。

水酸化バリウム(Barium hydroxide)は、化学式 Ba(OH)2 で表される無機化合物です。バリウムイオンと水酸化物イオンから構成されるイオン結晶であり、一般的には八水和物の形で存在します。水溶液は「バリタ水」と呼ばれ、強塩基としての性質を持ちます。

調製

酸化バリウム(BaO)を水に溶解させることで生成されます。この反応は激しい発熱を伴います。

酸化バリウムと水の反応式
酸化バリウムと水の反応式

再結晶によって八水和物が得られ、これを空気中で加熱すると一水和物となり、さらに減圧下で加熱することで無水物を得ることができます。

化学的性質

水酸化バリウムは強塩基として分類されます。水酸化カルシウムと比較して水への溶解度が高く、塩基としての作用も強力です。78℃以下では八水和物として安定して存在しますが、加熱により脱水が進みます。

水酸化バリウムの熱分解反応
水酸化バリウムの熱分解反応

水溶液に二酸化炭素を吹き込むと、炭酸バリウムが生成されて白く濁るため、炭酸塩の検出に利用されます。また、溶解熱が吸熱的であるため、温度の上昇とともに溶解度が著しく増大する特性があります。

水酸化バリウムの溶解平衡
水酸化バリウムの溶解平衡
八水和物の溶解平衡
八水和物の溶解平衡

用途

分析化学において、炭酸塩を含まない標準溶液として弱酸の滴定に用いられます。また、有機合成においては、エステルやニトリルの加水分解を促進する強塩基触媒として利用されます。

水和バリウムイオンの酸解離
水和バリウムイオンの酸解離

安全性

水酸化バリウムは毒性が強く、劇物に指定されています。皮膚や眼に対して強い腐食性を持つため、取り扱いには適切な保護具が必要です。

よくある質問

水酸化バリウムはなぜ滴定に使われるのですか?
水酸化バリウム水溶液は、炭酸塩を含まない状態を維持しやすいため、弱酸の滴定において終点誤差を抑えることができるからです。
バリタ水とは何ですか?
水酸化バリウムの飽和水溶液のことです。二酸化炭素と反応して白く濁る性質があるため、炭酸ガスの検出に用いられます。
水酸化バリウムの毒性はどの程度ですか?
水溶性のバリウム化合物として毒性が強く、劇物に指定されています。取り扱いには十分な注意が必要です。

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参考文献

  • Lide, David R., ed (2009). CRC Handbook of Chemistry and Physics (90th ed.). CRC Press.
  • Mendham, J.; Denney, R. C.; Barnes, J. D.; Thomas, M. J. K. Vogel's Quantitative Chemical Analysis, 6th ed.
  • Gmelins Handbuch der anorganischen Chemie, 8. Aufl.