地球科学

海岸砂州地形:バリアー島の構造と成立プロセス

海岸砂州地形:バリアー島の構造と成立プロセス
沖合に海岸と並行して発達する砂礫の堆積地形、バリアー島の構造、成立仮説、および国内外の主な事例について解説する地理・地学の百科事典記事です。

📌 主なポイント

  • バリアー島は、海岸の沖合に並行して発達する砂や礫から成る細長い陸地である。
  • バリアー島と本土の間にはラグーン(潟)が形成され、潮流口を通じて外洋と海水をやり取りする。
  • バリアー島の発達には、緩やかな海底勾配、十分な堆積物の供給、そして小さな潮差が重要な条件となる。

バリアー島(英語: barrier island)とは、海岸の沖合に、海岸線と並行して伸びる砂や礫から成る細長い陸地を指す。陸地を外洋の波浪から守るような位置関係にあることからこの名称が用いられる。バリアー島の海側には発達した砂浜が広がり、多くの島で低い砂丘や灌木などの植生が確認される。

バリアー島と本土との間にはラグーン(潟)と呼ばれる水域が存在し、バリアー島同士の間にはラグーンと外洋を結ぶ潮流口(tidal inlet)が形成される。上げ潮や下げ潮の際には、この潮流口を通じて海水が往来し、上げ潮時にはラグーン側へ、下げ潮時には外洋側へと三角州状の地形が形成される。これは潮汐三角州(tidal delta)と呼ばれる。また、時間の経過とともに潮流口がふさがれると、ラグーンが塩沼へと変化する場合もある。

バリアー島と他の海岸地形の比較
バリアー島と他の海岸地形の比較

成立プロセスと条件

バリアー島は、おもに海進期における堆積システムとして形成される。現存するバリアー島は、後氷期の海面上昇に伴って徐々に陸側へ移動したものとされている。バリアー島が発達するためには、海底の勾配が緩やかであること、堆積物の供給量が十分であること、そして潮差の小さな(おおむね2メートル以下)地域であることという地理的条件が重要とされる。

成因に関する仮説

バリアー島の形成過程については、いくつかの仮説が提唱されている。

  • 海水準の上昇に伴って浜堤が溺れ、海岸側の高まりと陸地が分断されたとする説
  • 砂嘴が海岸に沿って移動し、分断されたとする説
  • 砂州が成長して海面上に現れたとする説
  • 沿岸砂州が海面上に現れたとする説

主なバリアー島

バリアー島は世界のさまざまな海岸線で見られる地形であり、日本国内においても古地理の調査などで確認されている。

  • 成ヶ島:日本における古東京湾のバリアー島の例として知られる。
  • アメリカ東海岸・メキシコ湾岸:フロリダ半島の東海岸からメキシコ湾沿岸にかけて、数千キロメートルにわたり大規模なバリアー島が発達している。
  • アウターバンクス:アメリカ合衆国東部に位置する砂州・バリアー島の群れ。
  • シー諸島:北アメリカ大陸の東南部に位置する島々。
  • オーストラリア・コーナー入江:ビクトリア州のメルボルン南東に位置する入江に存在する。
  • ヨーロッパ沿岸:イタリアのアドリア海沿岸(ポー川河口からヴェネツィアにかけてのアルバレッラ島やリド島)、バルト海沿岸(ポーランドからカリーニングラードにかけて)、およびオランダからデンマークにかけて伸びるワッデン諸島(フリースラント諸島)などが挙げられる。

よくある質問

バリアー島とはどのような地形ですか?
海岸の沖合に、海岸線と並行して細長く伸びる砂や礫から成る陸地のことです。陸地を海から守るような位置にあるためこの名があり、海側には砂浜、内陸側にはラグーン(潟)を伴うのが特徴です。
バリアー島と本土の間にある水域は何と呼ばれますか?
ラグーン(潟)と呼ばれます。バリアー島と本土の間に挟まれた水域であり、潮流口を通じて外洋とつながっています。
バリアー島が発達しやすい環境の条件は何ですか?
海底の勾配が緩やかであること、堆積物の供給量が十分にあること、そして潮差が2メートル以下と小さい地域であることが重要な条件とされています。

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参考文献

  • 増田富士雄 1992「古東京湾のバリアー島」『地質ニュース』458号, pp.16-27 実業公報社
  • 垣見俊弘 1990「フロリダのバリアー島と沼沢性海岸巡検記」『地質ニュース』433号, pp.14-25 実業公報社
  • Ailsa Allaby, Michael Allaby編 2004 坂幸恭監訳『オックスフォード地球科学辞典』朝倉書店
  • 堆積学研究会編 1998『堆積学辞典』朝倉書店