行動療法の特徴と発展の歴史
📌 主なポイント
- ✓行動療法は学習理論や行動理論を基礎とする行動変容技法の総称である。
- ✓ターゲットとなるのは客観的に測定可能な行動であり、原因探求を中心とする精神分析などとは一線を画する。
- ✓イワン・パブロフの古典的条件づけやバラス・スキナーのオペラント条件づけがその基礎となっている。
- ✓医療分野だけでなく、リハビリテーションや療育、矯正などの幅広い分野に応用されている。
行動療法(こうどうりょうほう、behavior therapy)とは、心理療法のひとつであり、学習理論や行動理論を基礎とする数多くの行動変容技法の総称である。近年の発展においては、広義の認知療法との融合が進展し、認知行動療法と称されることも多い。
基礎理論と特徴
行動療法においてターゲットとすべき対象は、客観的に測定可能な「行動」である。治療や介入における目標は、望ましくない行動の強化や弱化といった行動の制御に置かれる。精神分析における原因の探求や、来談者中心療法における受容的な支持療法とは異なり、訓練や条件づけを重視する点に大きな特徴がある。
歴史的発展
イワン・パブロフによる古典的条件づけを特徴とした行動主義心理学は、第二次世界大戦時に欧米で盛んに研究された。初期の臨床応用としては、ハンス・アイゼンクが挙げられ、1960年代には学習理論や条件づけによって神経症やアルコール依存症を治療することを提唱した。ジョセフ・ウォルピは、古典的条件づけに基づいて恐怖反応に拮抗するリラクゼーションを用いる系統的脱感作を提唱し、これが後のエクスポージャー(暴露)療法にもつながっていった。
その後、ハーバード大学の心理学者であるバラス・スキナーによるオペラント条件づけの登場によって行動主義は一世を風靡した。しかし、その後は人間性に焦点を当てた人間性心理学や、アーロン・ベックの認知療法など認知に焦点を当てた技法の登場によって一時的に勢力が変化した。アルバート・バンデューラが思考などの認知が行動の媒介となっているとする社会的学習理論を提唱したことなどを経て、現代では広義の認知行動療法へと発展・分類されることが多い。
主な技法
行動療法の技法は、大きくレスポンデント技法とオペラント技法に分類される。
レスポンデント技法
レスポンデント技法には、覚醒条件づけ技法や情動条件づけ技法などの強化技法のほか、暴露法(エクスポージャ法)や脱感作技法(拮抗条件づけ技法)といった消去技法が含まれる。
オペラント技法
オペラント技法には、漸近的行動形成技法、トークンエコノミー技法、モデリング技法、バイオフィードバック技法、セルフモニタリング技法などが含まれ、消去技法としてはレスポンンスコスト技法や条件性制止技法などが挙げられる。
活用分野
行動療法という名称を用いているものの、その技法は精神科や心療内科などの医療領域に留まらない。各種の技能訓練、習癖の改善、リハビリテーション、障害を持つ子どもの療育、犯罪者の矯正など、幅広い分野において応用されており、文脈によっては行動変容や行動修正(behavior modification)という呼称が用いられることもある。
よくある質問
行動療法とはどのような心理療法ですか?
行動療法と精神分析の違いは何ですか?
どのような分野で活用されていますか?
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参考文献
H.J.アイゼンク編、異常行動研究会翻訳『行動療法と神経症-神経症の新らしい治療理論』誠信書店、1965年。