エネルギー科学

バイオマスエタノールの製造技術と内燃機関燃料としての特性

バイオマスエタノールの製造技術と内燃機関燃料としての特性
バイオマスエタノールの概要、サトウキビやトウモロコシなどを原料とする製造プロセス、セルロース系バイオマスの技術、内燃機関燃料としての特性を解説する百科事典記事です。

📌 主なポイント

  • バイオマスエタノールは、サトウキビやトウモロコシなどのバイオマスを発酵・蒸留して生成される。
  • サトウキビ由来の製造工程では、副産物であるバガスが工場の熱源や自家発電の燃料として活用される。
  • 食料との競合問題を解決する手段として、非食用資源を活用するセルロース系バイオマスの研究開発が進められている。

バイオマスエタノール(Biomass Ethanol)は、再生可能な生物資源(バイオマス)から生成されるエタノールであり、主に内燃機関の燃料としての利用を目的として生産されるエネルギー源である。

概要

サトウキビやトウモロコシなどのバイオマスを発酵・蒸留して生産されるエタノールを指し、石油や天然ガスから化学合成される合成エタノールとは区別される。エネルギー源としての再生可能性や、燃焼時に大気中の二酸化炭素(CO2)量を増加させないとされるカーボンニュートラル性を念頭に置いて活用されている。

主な原料と製造工程

バイオマスエタノールの原料には、炭水化物を含む生物由来の資源が用いられる。生産効率の観点から、糖質やデンプン質を多く含む農産物や木質資源が選好されている。

サトウキビを原料とする製造

サトウキビを原料とする場合、精糖を分離した後のモラセス(廃糖蜜)が発酵原料として利用される。副産物である絞り滓(バガス)は、工場の熱源燃料として活用されるほか、余剰電力を電力会社へ売電する事例もある。

トウモロコシを原料とする製造

トウモロコシのデンプンを糖化して発酵させる方法には、湿式製法と乾式製法がある。米国などで新設される工場では、工程の標準化とコスト低減の観点から乾式製法が広く採用されている。

セルロース系バイオマス(第二世代バイオ燃料)

食料との競合を回避するため、非食用植物や廃木材、稲藁などのセルロース系バイオマスを酵素や微生物を用いて糖に変換し、エタノールを製造する技術の開発が進められている。

内燃機関の燃料としての特性

内燃機関の燃料として利用する場合、ガソリンと比較してノッキングが発生しにくく、一定の混合比までであれば既存のガソリン内燃機関をそのまま利用できる利点がある。一方で、ガソリンに比べて単位体積あたりの熱量が小さいことや、ゴム・アルミニウム製部品への腐食性、水分との親和性の高さといった課題も存在する。

よくある質問

バイオマスエタノールとは何ですか?
産業資源としてのバイオマスを発酵および蒸留して生成されるエタノールであり、主に内燃機関の燃料として利用される再生可能エネルギーの一つです。
どのような原料から製造されますか?
主にサトウキビのモラセスやトウモロコシなどの糖質・デンプン質原料が用いられるほか、近年では廃木材や稲藁などのセルロース系バイオマスも原料として研究・利用されています。
燃料としてのメリットとデメリットは何ですか?
メリットとして再生可能エネルギーであることやノッキングしにくい点が挙げられ、デメリットとしてはガソリンに比べて熱量が小さいことや金属・樹脂製部品への腐食性が挙げられます。

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参考文献

岡田茂、「バイオ燃料として期待される微細藻類の炭化水素生合成酵素」 『化学と生物』 Vol.50 (2012); 社団法人アルコール協会編 『バイオエタノール製造技術』 工業調査会 2007年