映画
國民の創生:映画史における意義と論争

D・W・グリフィス監督による1915年の無声映画『國民の創生』。映画技術の発展における功績と、人種差別的な描写による社会的論争について解説します。
📌 主なポイント
- ✓D・W・グリフィス監督による1915年公開の長編無声映画である。
- ✓クロスカッティングやクローズアップなど、現代映画の基礎となる編集技法を確立した。
- ✓KKKを肯定的に描く人種差別的な内容から、公開当時より激しい抗議と上映禁止運動を受けた。
- ✓1992年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
『國民の創生』(原題: The Birth of a Nation)は、D・W・グリフィスが監督を務め、1915年に公開されたアメリカの長編無声映画である。トーマス・ディクスンの小説『クランズマン』を原作とし、南北戦争から連邦再建期にかけての二つの家族の運命を軸に物語が展開される。
映画史における技術的革新
本作は、映画表現の基礎を築いた作品として映画史的に高く評価されている。グリフィスは、クロスカッティング、極端なクローズアップ、フラッシュバックといった技法を効果的に活用し、物語の緊張感を高める手法を確立した。また、ジョセフ・カール・ブレイルによるオーケストラ用の伴奏音楽を大規模に導入するなど、映画における音楽の役割を再定義した点でも先駆的であった。
社会的論争と人種差別的描写
一方で、本作は公開当時から激しい批判にさらされてきた。物語は南部の白人の視点から描かれており、クー・クラックス・クラン(KKK)を英雄的に描写し、黒人を悪役として扱う内容が含まれている。この描写は人種差別を助長するものとして、全米黒人地位向上協会(NAACP)をはじめとする団体から猛烈な抗議を受け、一部の都市では上映禁止運動が展開された。今日においても、本作は映画史上の技術的意義と、人種差別的なイデオロギーを広めたという負の側面の両面から議論の対象となっている。
公開と影響
1915年2月に公開された本作は、当時のアメリカ映画として最大級の興行収入を記録した。当時の大統領ウッドロウ・ウィルソンがホワイトハウスで鑑賞したことでも知られている。1992年には、その歴史的・文化的価値が認められ、アメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
よくある質問
『國民の創生』が映画史において重要な理由は何ですか?
クロスカッティングやクローズアップなど、物語を語るための高度な編集技法を確立し、長編映画の可能性を大きく広げたためです。
なぜこの映画は人種差別的であると批判されているのですか?
白人至上主義団体であるクー・クラックス・クランを英雄的に描き、黒人をステレオタイプかつ悪意のある表現で描写しているためです。
この映画は現在でも視聴可能ですか?
はい、映画史的な資料としてDVDや配信などで視聴可能ですが、その内容については歴史的背景を理解した上での批判的な視点が求められています。
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参考文献
- Robert Lang, David Wark Griffith (1994). The Birth of a Nation: D.W. Griffith, Director. Rutgers University Press.
- Melvyn Stokes (2007). D.W. Griffith's the Birth of a Nation: A History of the Most Controversial Motion Picture of All Time. Oxford University Press.