大気光学現象
ブロッケン現象:大気光学現象の概要とメカニズム

太陽光が霧や雲の粒子に散乱して生じる大気光学現象「ブロッケン現象」について、その発生メカニズムや歴史的呼称、観察条件を解説します。
📌 主なポイント
- ✓ブロッケン現象は、背後からの光が霧や雲の粒子で散乱されることで発生する大気光学現象である。
- ✓光の輪はミー散乱によって生じ、内側が青、外側が赤となる同心円状の虹色を呈する。
- ✓ドイツのブロッケン山でよく観測されたことが名称の由来である。
- ✓日本では古来より「御来迎」と呼ばれ、宗教的な意味合いを持って捉えられてきた。
ブロッケン現象(英語: Brocken spectre)は、太陽などの光源が背後から差し込む際、前方の雲や霧の粒子によって光が散乱され、観測者の影の周囲に虹のような光の輪が現れる大気光学現象です。この光の輪は「グローリー(光輪)」とも呼ばれます。

発生メカニズム
ブロッケン現象は、水滴による光の「ミー散乱」によって引き起こされます。太陽光が観測者の背後から霧や雲の粒子に当たり、後方へ散乱される際に、光の波長(色)によって異なる角度依存性を持つため、虹のような同心円状の輪が形成されます。内側が青色、外側が赤色となるのが特徴です。観測者の影が十分に小さい場合、中心点に輝点が見えることもあります。

観察条件
主に山岳地帯で、尾根の日陰側や風上側の谷から霧が上昇し、稜線で日光を浴びる際に観察されることが多い現象です。また、航空機から雲を見下ろす際や、平地であってもダム湖周辺などで発生する川霧によって観察されることがあります。光源は太陽に限らず、自動車のヘッドライトなどでも条件が合えば発生します。

歴史と呼称
名称は、ドイツのハルツ山地にあるブロッケン山で頻繁に観測されたことに由来します。1780年にはドイツの自然科学者ヨハン・シルベルスラグが論文で記述しました。日本では古くから「御来迎(ごらいごう)」や「仏の後光」などと呼ばれ、阿弥陀如来の姿と重ね合わせられてきました。山形大学の前田直己の研究によれば、出羽三山の修験者が世界で初めてこの現象に名前を付けたという説もあります。




よくある質問
ブロッケン現象はどこで見ることができますか?
主に山岳地帯の稜線付近で霧が発生している時に見られますが、航空機から雲を見下ろす際や、平地の川霧など、条件が整えば様々な場所で観察可能です。
なぜ「ブロッケン」という名前なのですか?
ドイツのハルツ山地にある最高峰、ブロッケン山で頻繁に観測されたことに由来しています。
虹とブロッケン現象の違いは何ですか?
虹は雨粒による屈折と内部反射で生じますが、ブロッケン現象は霧粒によるミー散乱(光の散乱)によって生じるという点でメカニズムが異なります。
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参考文献
- 「ブロッケン現象」『精選版 日本国語大辞典、デジタル大辞泉』コトバンク。
- 菊池一郎「ブロッケンの妖怪」『医師会報』2003年3月号、沖縄県医師会。
- 「森の四季 Vol.4」福島県南会津郡只見町。
- 「ブロッケン現象の呼び名、「来迎」が先 曽良の随行記から解釈」『山形新聞』2017年3月8日。