物理学

浮力:流体力学における原理と物理的性質

浮力:流体力学における原理と物理的性質
流体中の物体に働く上向きの力「浮力」について、アルキメデスの原理に基づいた物理的メカニズム、計算式、および関連する無次元数を解説します。

📌 主なポイント

  • 浮力は、流体中の物体が受ける上下の圧力差によって生じる上向きの力である。
  • アルキメデスの原理により、浮力の大きさは物体が排除した流体の重量と等しい。
  • 物体の密度が周囲の流体より低い場合、物体は浮上する。

浮力(ふりょく、英: buoyancy)とは、液体や気体などの流体中にある物体に対して、重力とは逆の方向(上向き)に作用する力を指します。この現象は、流体内部における圧力差によって生じる物理的な力です。

物理的メカニズム

浮力の根本的な原因は、流体内部の圧力分布にあります。流体中の物体は、周囲の流体から全方位に圧力を受けています。流体の圧力(静水圧)は深さが増すほど大きくなるため、物体が受ける圧力は上部よりも下部の方が強くなります。この上下の圧力差が合力として上向きに作用し、浮力となります。

水圧の説明図。水深が深くなるほど、比例して水圧が強くなる。
水圧の説明図。水深が深くなるほど、比例して水圧が強くなる。水圧の方向は、物体の面に垂直方向に働く。

アルキメデスの原理

物体が受ける浮力の大きさは、アルキメデスの原理によって説明されます。この原理によれば、流体中の物体が受ける浮力は、その物体が排除した流体の重さに等しくなります。

浮力の計算式
浮力の計算式:Fb = ρfVg(ρfは流体の密度、Vは物体の体積、gは重力加速度)

物体が流体中に完全に浸かっている場合、浮力は物体の深さには依存しません。

浮沈の条件

物体に働く重力と浮力の合力によって、物体が浮くか沈むかが決定されます。物体の密度をρs、流体の密度をρfとすると、合力Fは以下の式で表されます。

浮沈の条件式
合力の計算式:F = (ρf - ρs)Vg
  • ρs < ρf:物体は流体より軽く、浮力が重力を上回るため物体は浮きます。
  • ρs > ρf:物体は流体より重く、重力が浮力を上回るため物体は沈みます。
浮力の例の説明図
浮力の例の説明図。水面に浮いていて静止している物体では、重力と浮力とが釣り合っている。

流体力学における無次元数

流体力学では、浮力と他の物理的要因との比率を示す無次元数が用いられます。

  • リチャードソン数:慣性力との比
  • グラスホフ数:粘性力との比
  • レイリー数:熱拡散との比
  • エトベス数:表面張力との比

よくある質問

なぜ水深が深くなっても浮力は変わらないのですか?
物体が完全に流体に浸かっている場合、深さが増しても物体の上部と下部にかかる圧力の差(圧力勾配)は一定であるため、浮力は変化しません。
物体が沈むか浮くかはどのように決まりますか?
物体の密度と流体の密度の比較によって決まります。物体の密度が流体より小さければ浮き、大きければ沈みます。

関連記事

アルキメデスの原理流体力学静水圧密度

参考文献

  • 物理学辞典(各版)
  • 流体力学の基礎テキスト