ビジネスジェットの概要と運用形態・市場動向

📌 主なポイント
- ✓ビジネスジェットは、企業や富裕層がゼネラル・アビエーションの用途で運用する小型ジェット機の総称である。
- ✓安全性と燃費のバランスを考慮し、双発エンジンが主流として採用されている。
- ✓1980年代後半に登場した「フラクショナル・オーナーシップ」により、所有形態の多様化と市場の拡大が進んだ。
- ✓日本国内では、航空法上の規制や発達した鉄道網などの背景から、欧米と比較して導入が遅れている。
ビジネスジェット(business jet、略してbizjet)およびプライベートジェットは、数人から十数人程度を定員とする小型のジェット機のうち、企業や富裕層がゼネラル・アビエーション(公共交通や一般大衆を搭乗させる定期旅客運送ではない用途)として運用することを想定して設計・製造された航空機の総称である。実際には企業経営者や重役などの人員輸送に多く使用されることから、カンパニー・ジェット、コーポレート・ジェット、エグゼクティブ・ジェットとも呼ばれる。
使用目的
ビジネスジェットは、民間企業の社用機としての利用にとどまらず、多岐にわたる目的で運用されている。
- 企業経営幹部の移動:企業の役員が出張や移動のために利用する。
- 個人・富裕層による利用:企業の創業者や資産家が個人名義、あるいは企業名義でプライベートに所有・利用する。
- 政府・公的機関の要人輸送:政府要人の迅速かつ臨機応変、あるいは秘密裏の移動に用いられる。
- 報道・捜査・軍事用途:報道機関による取材や連絡、国土の広い国の捜査機関や諜報機関による人員の迅速な移送、軍における要人輸送や捜索救難などに活用される。
アメリカ同時多発テロ事件以降、一般旅客機の安全性に対する意識の変化を背景に、不特定の搭乗者がいないビジネスジェットの需要は増大した。アメリカでは2018年時点で1万3000機が運航されており、操縦士の手配や機体管理を代行する専門企業も存在する。
エンジンと構造上の特徴
ビジネスジェットの多くは、安全性(冗長性)の確保や燃費とのバランスから、双発(ツインエンジン)が主流となっている。大型の機種や大洋横断を想定した一部の機体では3発機が採用された例もあるが、4発機は燃費や重量の観点から非常に稀である。
外観上似ている機体にリージョナルジェットがあるが、こちらはローカル空港とハブ空港を結ぶ近距離運用を前提としており、燃料搭載量などの設計思想が異なる。
歴史と市場の展開
ビジネスジェットの先駆けとなったのは1950年代に開発されたノースアメリカン セイバーライナーやロッキード ジェットスターであり、これらは軍や政府向けに納入された傍ら民間にも販売された。最初から民生用途で開発・量産された機種としては、1964年に引き渡しが開始されたリアジェット23が挙げられる。
黎明期にはターボプロップエンジンや比較的小型のターボジェットエンジンが流用されていたが、やがて燃費と静粛性に優れたターボファンエンジンが主流となった。
1980年代後半には、航空機の所有権を分割して販売し、比率に応じた飛行時間を保証する「フラクショナル・オーナーシップ」という新しい所有形態が登場した。エグゼクティブ・ジェット・アビエーション(現ネットジェッツ)が始めたこのビジネスモデルにより新たな顧客層が開拓され、ビジネスジェットの普及が大きく進むこととなった。
日本国内における実情
日本では、1952年に制定された現行の航空法が大手航空会社の定期路線を主な想定として作られているため、ビジネスジェットの運用において多くの規制や制限が存在する。
東京国際空港などの主要空港では、飛行計画の事前提出や許可取得が義務付けられているほか、施設利用料や格納庫の使用料、各種証明書の手続きが欧米に比べて複雑で高額である傾向にある。また、日本国内においては新幹線を中心とした高速鉄道網が発達しており、主要都市間を迅速に結んでいることや、治安の良さから来るセキュリティ上の優位性の薄さなども相まって、欧米諸国と比較してビジネスジェットの導入・利用は限定的な規模にとどまっている。
よくある質問
ビジネスジェットとはどのような航空機ですか?
ビジネスジェットのエンジンはなぜ双発が主流なのですか?
フラクショナル・オーナーシップとは何ですか?
日本でビジネスジェットの普及が遅れているのはなぜですか?
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参考文献
- 和書 コラム:米企業トップ、ビジネスジェット私的利用の甘い実態 ロイター 2019年4月14日
- ビジネスジェット専用ゲート - 東京国際空港ターミナル
- ゴーン被告脱出 関空、保安検査義務付けなし 自家用機施設の盲点突く 産経ニュース