無機化合物
水酸化カドミウムの化学的性質と構造

化学式Cd(OH)2で表される水酸化カドミウムの合成方法、物理的・化学的性質、結晶構造、および法規制について解説する百科事典記事。
📌 主なポイント
- ✓化学式は Cd(OH)2 である。
- ✓日本国内では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。
- ✓200℃程度の加熱により分解し、酸化カドミウムと水になる。
水酸化カドミウム(すいさんかカドミウム、Cadmium hydroxide)は、化学式 Cd(OH)2 で表されるカドミウムの水酸化物である。日本国内では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。
合成
二酸化炭素を含まない硝酸カドミウム水溶液に、炭酸塩を含まないやや過剰の水酸化ナトリウム水溶液を加えると、沈殿として得られる。

性質
無色の片状結晶または無定形の固体粉末である。同質異像の構造が存在し、六方晶系のβ型が最も安定であるが、アルキルカドミウムの加水分解により得られるγ型のものは単斜晶系である。ほかにグルコースの存在下、硝酸カドミウムの加水分解により得られるα型の二重層構造のものも存在する。

水には極僅かにしか溶解せず、希酸およびアンモニウム塩水溶液に容易に溶解する。イオン半径が亜鉛より大きいため溶解度積は水酸化亜鉛よりやや大きく、塩基性もやや強い。水酸化亜鉛と異なり希アルカリ水溶液にはほとんど溶解しないが、熱濃アルカリ水溶液には溶解してカドミウム酸塩を生じる。

アンモニア水には錯体を生成して溶解する。

200℃程度の加熱により分解し、水を失って酸化カドミウムになる。

水酸化カドミウム型構造
水酸化カドミウム型構造は六方晶系のヨウ化カドミウム型構造のヨウ化物イオンの位置に水酸化物イオンが配置した結晶構造である。これは水酸化物イオンがほぼ六方最密充填構造に配置し、c軸方向の層の一つおきに八面体六配位の間隙に金属イオンが位置している。




層状構造であり、結晶には著しい劈開が見られる。多くの2価の金属の水酸化物に見られる代表的な結晶構造である。
よくある質問
水酸化カドミウムの化学式は何ですか?
化学式は Cd(OH)2 です。
水酸化カドミウムは水に溶けますか?
水には極僅かにしか溶解しませんが、希酸やアンモニウム塩水溶液には容易に溶解します。
加熱するとどうなりますか?
200℃程度に加熱すると分解し、水を失って酸化カドミウムになります。
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参考文献
ジョン・ランブル編 『CRC Handbook of Chemistry and Physics』 第99版、CRC Press、2018年。日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1977年。 『化学大辞典』 共立出版、1993年。