化学
水酸化カルシウムの化学的性質と用途

水酸化カルシウム(消石灰)の化学的性質、生産方法、および中和剤や防疫、建築材料としての幅広い用途について解説します。
📌 主なポイント
- ✓化学式はCa(OH)₂であり、一般に消石灰と呼ばれる。
- ✓水に対する溶解度は温度の上昇とともに減少する。
- ✓強塩基性を示し、中和剤や防疫、建築材料(漆喰)として広く利用される。
水酸化カルシウム(英: Calcium hydroxide)は、化学式 Ca(OH)₂ で表されるカルシウムの水酸化物です。一般には消石灰(しょうせっかい)とも呼ばれ、固体はカルシウムイオンと水酸化物イオンから構成されるイオン結晶です。水溶液は石灰水、懸濁液は石灰乳と呼ばれ、強いアルカリ性を示します。
化学的性質
水酸化カルシウムは水に少量溶解し、飽和水溶液はpH 12.4程度の塩基性を示します。溶解度は温度の上昇とともに減少するという特徴があり、これは溶解熱が発熱的であることに起因します。天然にはポートランダイトとして産出します。

生産
酸化カルシウム(生石灰)に水を加えることで生成されます。この反応は激しい水和熱を伴うため、取り扱いには注意が必要です。

主な用途
水酸化カルシウムは、その強塩基性を活かして多方面で利用されています。
- 中和剤・凝集剤:酸性化した河川や土壌の中和、排水処理における凝集剤として広く利用されます。
- 建築材料:漆喰の主成分として古くから用いられています。
- 防疫:微生物の繁殖を抑制する性質があるため、高病原性鳥インフルエンザや豚熱などの防疫対策として利用されます。
- 食品加工:コンニャクの凝固剤や、pH調整剤として使用されます。
- その他:火力発電所の排ガスからの硫黄酸化物除去や、歯科治療における貼薬剤などにも用いられます。
かつては小中学校の校庭の白線用ラインパウダーとして使用されていましたが、目に入った際の危険性が指摘されたため、現在ではより安全な炭酸カルシウムを用いた製品への切り替えが進んでいます。
よくある質問
水酸化カルシウムと酸化カルシウムの違いは何ですか?
酸化カルシウム(生石灰)に水を加えると、反応して水酸化カルシウム(消石灰)が生成されます。
なぜ学校の白線用ラインパウダーとして使われなくなったのですか?
水酸化カルシウムは強塩基であり、目に入ると失明の危険性があるため、より安全な炭酸カルシウム製に変更されました。
水酸化カルシウムの溶解度は温度でどう変化しますか?
溶解熱が発熱的であるため、温度が上昇すると溶解度は減少します。
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酸化カルシウム炭酸カルシウムアルカリ漆喰
参考文献
- John Rumble, CRC Handbook of Chemistry and Physics, 99th ed., CRC Press, 2018.
- 沢辺大輔、鳥越宣宏「漆喰の文化と化学」『化学と教育』第64巻第3号、日本化学会、2016年。
- 日本学校保健会「運動場のラインなどに使用する石灰の取り扱いについて」(2007年)。