食品工学

CAS冷凍技術の概要と仕組み

CAS冷凍(セルアライブシステム冷凍)の仕組み、細胞への影響を抑える技術的特徴、および食品保存における利点について解説します。

📌 主なポイント

  • CAS冷凍は株式会社アビーによって開発された冷凍技術である。
  • 磁場を利用して水分子を振動させることで、氷の核形成を抑制し細胞膜の損傷を防ぐ。
  • 解凍時には電磁波等を活用し、内部と外部の温度を均一に保つことで鮮度を維持する。
  • 離島などの遠隔地における水産物の流通・保存手段として活用されている。

CAS冷凍(Cells Alive System冷凍、セルアライブシステム冷凍)は、株式会社アビーが開発した食品の凍結技術です。従来の冷凍手法と比較して、解凍時の品質低下を大幅に低減することを目的としています。

技術的特徴

一般的な冷凍プロセスでは、食品の水分が氷に変わる際に体積が膨張し、細胞膜を損傷させることがあります。この損傷が解凍時のドリップ(細胞内の水分や栄養成分の流出)を招き、食味の低下につながります。CAS冷凍は、この細胞へのダメージを最小限に抑えるための技術です。

このシステムでは、主に磁場を利用したアプローチが採用されています。磁場を発生させることで水分子を細かく振動させ、低温下での氷の核形成を抑制します。これにより、過冷却状態を維持しながら、氷の結晶が大きく成長するのを防ぎ、細胞膜を傷つけにくい状態で凍結させることが可能となります。

解凍プロセス

CAS冷凍された食品の鮮度を維持するためには、凍結だけでなく解凍工程も重要です。業務用装置では、冷却と電磁波による加熱を組み合わせることで、食品の内部と外部の温度差を抑え、均一に解凍する手法がとられます。電磁波の透過性を利用することで、食品の深部まで効率的に熱を伝えることが可能です。

地域社会への応用

CAS冷凍技術は、物流や地域経済の課題解決にも活用されています。例えば、島根県隠岐諸島海士町に建設された「CAS凍結センター」では、離島という地理的制約により市場への出荷が困難であった新鮮な水産物を、CAS冷凍によって鮮度を保ったまま流通させることに成功しました。これにより、通信販売などの新たな事業展開が可能となり、地域産業の活性化に寄与しています。

よくある質問

CAS冷凍の主な目的は何ですか?
従来の冷凍技術で発生しがちな、凍結・解凍時の細胞膜損傷とそれに伴うドリップの流出を抑え、食品の鮮度や食味を維持することです。
なぜ磁場を利用するのですか?
磁場によって水分子を細かく振動させることで、低温下での氷の核形成を抑制し、氷の結晶が大きく成長して細胞を傷つけるのを防ぐためです。
家庭でCAS冷凍の効果を再現できますか?
CAS冷凍は専用の装置を必要とする技術です。家庭では、食品を小さく切り分けるなどして内外の温度差を減らす工夫が推奨されます。

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参考文献

  • TDK. "第109回 おいしさをそのまま凍らせる技術 —CAS冷凍—". TDK. 2025年7月16日閲覧。
  • 日本食糧新聞・電子版. "アビー、解凍後も鮮度そのまま「CAS凍結システム」開発". 2025年7月16日閲覧。