シャルルの法則:気体の体積と温度の関係

📌 主なポイント
- ✓シャルルの法則は、一定圧力の下で気体の体積が温度の上昇とともに単調に増加することを示す法則である。
- ✓1787年にジャック・シャルルが発見し、1802年にジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックによって初めて公表された。
- ✓この法則の数式的な考察から、物質に依存しない普遍的な温度の限界である絶対零度の存在が導き出される。
シャルルの法則(英語: Charles's law)とは、一定の圧力の下で、気体の体積が温度の上昇に伴いどのように変化するかを示す物理化学の基本法則である。シャールの法則とも呼ばれる。

この法則は、1787年にフランスの物理学者であるジャック・シャルルによって見いだされた。その後、1802年にジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックによって初めて公表されたため、ゲイ=リュサックの法則と呼ばれることもある。
なお、この公式発表に先立ち、1777年から1779年にかけてヘンリー・キャベンディッシュが実験を行い、熱膨張率に関する結論を導いていた。しかし、キャベンディッシュが生前にこれを発表することはなかったため、歴史的にはシャルルが独自に発見したものとして扱われている。
法則の内容と数式
一定の圧力のもとでは、温度が上昇すると気体の体積は単調に増加する。その膨張の割合は気体の種類によらずほぼ一定である。温度 $ heta$ のときの気体の体積を $V( heta)$ とするとき、温度が $ heta_1$ から $ heta_2$ に変化した際の体積の変化は次のように表される。

さらに、別の気体の体積を $V'( heta)$ と置いた場合、膨張の割合が気体の種類に依存しないことから、以下の比例関係が成り立つ。

気体温度計と絶対零度の導出
気体の体積変化の普遍性を利用することで、温度を測る基準(気体温度計)を構成することができる。体積の温度変化率が一定であると仮定し、基準温度(氷点 $ heta_{ ext{fp}}$)における体積を $V_{ ext{fp}}$ とすると、次の関係が導かれる。

この式を変形することにより、温度変数を表現することが可能となる。

さらに、水の沸点 $ heta_{ ext{bp}}$ とそのときの体積 $V_{ ext{bp}}$ を用いて実験的に係数を決定する。

実験の結果、比率は $V_{ ext{bp}}/V_{ ext{fp}} = 1.366$ となり、次のように表すことができる。

セルシウス度を用いて氷点を $0^ ext{--} ext{C}$、沸点を $100^ ext{--} ext{C}$ と定めると、係数は次のように計算される。

この表式により、温度が $-273^ ext{--} ext{C}$ に達したとき、気体の体積がゼロになるという結論が導かれる。この物質に依存しない普遍的な温度が絶対零度であり、新たな絶対温度 $T = heta + 273^ ext{--} ext{C}$ を導入することで、気体の体積と温度のシンプルな比例関係が成立する。

最終的に、絶対温度 $T$ を用いることでシャルルの法則は次のように非常にシンプルな形で表される。

実在気体における適用限界
シャルルの法則は、あくまで理想気体を仮定した近似法則である。実在気体においては、圧力が低く温度が十分に高い範囲であれば良好な近似となるものの、高圧または低温の環境下では、気体分子自体の大きさや分子間力が無視できなくなるため、理論値と実際の体積の間にずれが生じるようになる。