海事法
傭船契約の概要と法的性質
傭船契約(チャーター契約)の定義、裸傭船、定期傭船、航海傭船の3つの主要な形態、および国際会計基準(IFRS)におけるリース会計との関連性について解説します。
📌 主なポイント
- ✓傭船契約は、船舶の貸し手と借り手の間で締結される船舶利用に関する契約である。
- ✓主な形態として、裸傭船契約、定期傭船契約、航海傭船契約の3種類が存在する。
- ✓IFRSの導入により、定期傭船契約がリース会計の対象となる可能性があり、海運業界の財務報告に影響を与えている。
傭船契約(ようせんけいやく、英語: Charter party)とは、船舶の所有者(船主)が、他者に対して船舶の全部または一部を貸し出し、一定の対価(傭船料)を得る契約のことです。実務上は「チャーター契約」とも呼ばれます。なお、常用漢字の制限により「用船契約」と表記されることもあります。
傭船契約の主な形態
傭船契約は、船舶の運用責任や乗組員の配置状況に応じて、主に以下の3つに分類されます。
裸傭船契約(Bareboat Charter)
船舶そのものを貸し出す形態です。乗組員は含まれず、船舶のメンテナンスや保険、運航コストのすべてを借り手(傭船者)が負担します。航空機リースにおける「ドライ・リース」に相当します。
定期傭船契約(Time Charter)
船長や乗組員を配置した状態で、一定期間船舶を借り受ける契約です。船舶の維持管理や保険は船主が責任を負いますが、運航上の指示や燃料費などの費用は傭船者が負担します。航空機リースの「ウェット・リース」に近い形態です。
航海傭船契約(Voyage Charter)
特定の航海における貨物輸送を目的とした契約です。船主が運航の全責任を負い、貨物の輸送完了に対して運賃が支払われます。
国際会計基準(IFRS)とリース会計
海運実務において、定期傭船契約は長らくリース会計の対象外として扱われてきました。しかし、国際会計基準(IFRS)では、契約の法的形式よりも「資産の使用権が実質的に移転しているか」という実態が重視されます。そのため、定期傭船契約がリース会計の対象とみなされ、傭船者の貸借対照表上に資産として計上される可能性があり、海運事業者の財務指標に影響を与えることが議論されています。
よくある質問
傭船契約と用船契約の違いは何ですか?
どちらも同じ意味です。「傭」の字が常用漢字に含まれないため、代用表記として「用船契約」と書かれることが一般的です。
裸傭船契約と定期傭船契約の最大の違いは何ですか?
裸傭船契約は乗組員を含まない船舶のみの貸し出しであるのに対し、定期傭船契約は船長や乗組員が配置された状態で船舶を借り受ける点が異なります。
IFRSが海運業に与える影響とは何ですか?
定期傭船契約がリース会計の対象とみなされることで、傭船者の貸借対照表に資産と負債が計上され、自己資本比率などの財務指標が変化する可能性があります。
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参考文献
- IFRS導入が海運業に与える影響について - 新日本有限責任監査法人 (2017年1月21日閲覧)
- 日本海事新聞(10月28日発刊)にIFRSの海運に及ぼす影響についてのインタビュー記事が掲載されました。 - 青山綜合会計事務所 (2017年1月21日閲覧)