工学・技術

蓄熱技術の概要と応用分野

蓄熱技術の概要と応用分野
熱エネルギーを効率的に蓄え、需要の平準化や設備容量の縮小に寄与する蓄熱の仕組み、夜間電力の利用、および冷凍応用について解説します。

📌 主なポイント

  • 蓄熱とは熱エネルギーを蓄えることであり、最大需要時の負荷を軽減し熱源設備の容量を縮小する役割を持つ。
  • 夜間の安価な電力を利用して冷温熱を蓄え、昼間に利用することでライフサイクルコストの低減を図ることができる。
  • 蓄熱媒体には水、氷、潜熱蓄熱材、地中、建物の躯体などが用いられる。

蓄熱(ちくねつ)とは、熱エネルギーを物質や空間に蓄える技術およびプロセスのことである。電力や熱需要の最大需要時(ピーク時)に蓄えた熱を利用することにより、熱源設備の容量縮小を図ることが可能となる。また、移動施設などにおいては、事前に蓄えた熱のみで対応することで独自の熱源設備の設置や常時運転を不要にする利点がある。

家庭内における貯湯式の給湯器や製氷、保冷剤を用いたクーラーボックスの保冷などは、身近な蓄熱の例として挙げられる。熱を蓄えるために使用される媒体(蓄熱媒体)には、蓄熱槽内の水や氷、潜熱蓄熱材(PCM)、地中、さらには建物の躯体など多様なものが存在する。

シーメンス製の蓄熱式暖房機
シーメンス 製蓄熱式暖房機

夜間電力の利用

電力料金が比較的安価な夜間に冷熱や温熱を蓄え、昼間の熱負荷が増大する時間帯にその熱を利用するシステムは、エネルギーコストの最適化を図る上で広く導入されている。初期投資費用は大きくなる傾向にあるものの、長期的なライフサイクルコストの低減に寄与する。

  • 電熱式深夜電気給湯機
  • ヒートポンプ給湯機(例:エコキュート)
  • 氷蓄熱エア・コンディショナー(例:エコアイス)
  • 氷蓄熱冷蔵ショーケース
  • 電気蓄熱暖房機

冷凍応用と産業利用

蓄熱技術は空調や給湯分野だけでなく、冷凍応用や物流の領域でも活用されている。

  • 物流用蓄熱式保冷システム:あらかじめ冷却しておいた保冷剤を用いることで、輸送車両側での大掛かりな冷却設備の設置を不要にする。
  • 流下膜式凍結濃縮システム:夜間に排水を凍結濃縮し、昼間に冷熱を利用しながら解凍を行うプロセス。

よくある質問

蓄熱の主な目的は何ですか?
最大需要時の熱負荷に対応して熱源設備の容量を縮小することや、電力料金の安い夜間電力を利用してランニングコストを抑えることが主な目的です。
どのような媒体が蓄熱に使われますか?
蓄熱槽の水や氷、潜熱蓄熱材、地中、建築物の躯体など、目的に応じて多様な媒体が使用されます。
夜間電力を利用した蓄熱システムの例にはどのようなものがありますか?
エコキュートなどのヒートポンプ給湯機や、エコアイスなどの氷蓄熱エア・コンディショナー、電気蓄熱暖房機などが挙げられます。

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参考文献

「特集: 蓄熱技術の進展とその応用」『冷凍』Vol.82 No.955 日本冷凍空調学会