地球科学

地球のエネルギー収支:メカニズムと気候への影響

地球のエネルギー収支:メカニズムと気候への影響
地球に入り込むエネルギーと宇宙へ放出されるエネルギーのバランスを示す「地球のエネルギー収支」の仕組みや気候変動との関係を解説する百科事典記事。

📌 主なポイント

  • 地球の大気に入るエネルギーの総量はおよそ174ペタワットである。
  • 太陽放射は地球が得るエネルギー全体の99.97%を占める。
  • 地球全体のアルベド(反射率)の平均はおよそ0.3である。

地球に入ってくるすべてのエネルギーと、地球から宇宙へ出ていくすべてのエネルギーのバランスは、気候システムを理解する上で中心的な物理的システムである。地球が得るエネルギーの合計と、放出するエネルギーの合計は長期的には均衡が保たれている。

地球のエネルギー収支を簡略化した図
地球のエネルギー収支を簡略化した図(NASAによる)

エネルギーの流入

地球の大気に入るエネルギーの総量は、およそ174ペタワット(PW)である。その主な内訳は以下の通りである。

  • 太陽放射:全体の99.97%を占め、およそ174ペタワット(大気全体平均で約340 W/m²)である。太陽が天頂にあるときの最大値は約1,366 W/m²であり、これは太陽定数として知られている。太陽活動の周期的な変化に伴い、太陽定数も1〜3 W/m²前後変動する。
太陽活動と太陽定数の変化
太陽活動と太陽定数の変化
  • 地熱エネルギー:全体の約0.025%(約44テラワット、約0.08 W/m²)であり、地球内部の放射性崩壊などが主な熱源である。
  • 潮汐によるエネルギー:全体の約0.002%(約3テラワット、約0.0059 W/m²)であり、太陽や月などの引力による潮汐力に起因する。
  • 化石燃料の燃焼によるエネルギー:全体の約0.007%(約13テラワット、約0.025 W/m²)である。

エネルギーの流出と反射

地球全体のアルベド(反射率)の平均はおよそ0.3であり、注がれた太陽エネルギーの3割が宇宙へ反射され、残りの7割が地球システムに吸収される。

地球のエネルギー収支の詳細な図
地球のエネルギー収支の詳細な図(EOSPSOによる。PD USGov)

吸収された70%のエネルギーは、最終的にさまざまな経路を経て長波放射(赤外線)として宇宙へ再放出される。これには、大気や雲による再放射、地表からの直接放射、大気の移動、水の蒸発に伴う潜熱移動などが含まれる。

気候への影響と放射強制力

大気が得るエネルギーが失うエネルギーを上回る、あるいは下回るようなバランスの崩れは「放射強制力」として定義される。得るエネルギーが上回れば正の放射強制力が働き、気温上昇や海面温度の上昇といった形で現れる。

歴史的な気候変動において、失うエネルギーの変動をもたらす大きな要因の一つがアルベドの変化である。氷床の拡大や縮小は正帰還(フィードバック)を引き起こし、気候に大きな影響を与える。また、人為的な温室効果ガスの増加も放射強制力を変化させ、地球温暖化の主要な要因となっている。

よくある質問

地球のエネルギー収支とは何ですか?
地球に入ってくるすべてのエネルギーと、地球から宇宙へ出ていくすべてのエネルギーのバランスを示す物理的なシステムのことです。
地球が得るエネルギーの大部分は何ですか?
地球が得るエネルギーの約99.97%は太陽放射であり、大気全体平均でおよそ340 W/m²に相当します。
放射強制力とは何ですか?
地球が得るエネルギーと失うエネルギーのバランスが崩れ、温度の変化を引き起こす収支バランスの崩れを表す言葉です。

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参考文献

ENV100Y (Environment) course notes, University of Toronto; Earth's Energy Budget, Oklahoma Climatological Survey; Earth's Energy Budget graphic, NASA.