日本語の長音符における用法と表記規範

📌 主なポイント
- ✓長音符は「ー」で表される日本語の記号であり、俗に「伸ばし棒」とも呼ばれる。
- ✓直前の仮名の母音を通常の倍の2モーラに引き伸ばす働きを持つ。
- ✓主にカタカナでの外来語や擬音語・擬態語の表記に用いられる。
- ✓平仮名においては通常用いられないが、強調や方言、擬音語などの表記で例外的に使用されることがある。
長音符(ちょうおんぷ)、長音符号(ちょうおんふごう)、長音記号(ちょうおんきごう)または音引き(おんびき)は、「ー」の形で表される日本語の記号(約物)のひとつである。俗に「伸ばし棒」とも呼ばれ、漢字JISにおける名称は「KATAKANA-HIRAGANA PROLONGED SOUND MARK」である。
機能と特徴
長音符は仮名とともに用いられ、直前の仮名で表されるモーラに1モーラ(長音)を加え、直前の仮名の母音を通常の倍の2モーラに伸ばす働きを持つ。音素の一つとして直前の字と共に1つの音節を構成し、直前の字の母音は長母音となる(ただし、直前の仮名が「ん」である場合は、「ん」自体を2モーラに引き伸ばす)。
表記の実際
カタカナ表記における用法
長音符は主に外来語(例:テーブル)や擬音語・擬態語(例:ニャーン、シーッ)の長音を表記する際に用いられる。現代の日本語表記において外来語や擬音語・擬態語以外でカタカナを使用する場面は限られるが、原則としてそれら以外では長音符を用いず、平仮名と同様の方法で長音を表す(例:シイタケ、セイウチ)。ただし、俗な用法として「ヒコーキ」や「ケータイ」のように長音符が用いられることもある。
平仮名表記における用法
平仮名では通常、長音符は用いられず、現代仮名遣いに基づいた別の方法で長音を表記する(例:かあさん、にいさん、すうじ)。しかし、感動詞、擬音語・擬態語、方言、俗語、あるいは語調の強調を伴う長呼(例:ながーい、よーく)などの表記においては、平仮名であっても長音符が用いられることがあり、特に漫画の書き文字などで多用される。
公用文における扱い
2022年1月に通知された「公用文作成の考え方」の改訂版においては、カタカナで表記されている人名、地名、外来語の長音に対して平仮名で振り仮名を付す必要がある場合に限り、便宜的に長音符号をそのまま用いてよいとされている。
歴史的・国際的背景
19世紀のハングル表記においても、日本語由来とみられる長音符(레코-드、라-면など)が使用された事例があるが、現在は用いられていない。