地形学

圏谷(カール):氷河侵食による山岳地形

圏谷(カール):氷河侵食による山岳地形
圏谷(カール)の定義、形成プロセス、および日本国内の代表的な地形について解説します。氷河の侵食作用によって生じる半円状の地形の特徴を詳述。

📌 主なポイント

  • 圏谷は氷河の侵食作用によって形成される半円状の谷地形である。
  • カール壁に囲まれた平坦なカール底と、モレーンやカール湖の存在が特徴である。
  • 日本における学術的な圏谷の発見は、山崎直方による立山連峰の山崎カールが最初とされる。

圏谷(けんこく、英: Cirque、独: Kar)は、山地において氷河の源流部に形成される、スプーン状にえぐられた半円形ないし馬蹄形の谷地形である。氷河の侵食作用によって形成される代表的な氷河地形の一つとして知られている。

形成プロセスと特徴

圏谷は、高山の山稜直下などで氷河が成長する過程で、周囲の山肌を削り取ることで形成される。氷河が後退した後にその地形が地上に現れることで、特徴的な構造が観察可能となる。一般的に、谷の両側と山頂側は急峻な「カール壁」に囲まれ、その底には平坦な、あるいは逆傾斜した「カール底」が広がる。カール底には氷河によって運搬・堆積した土砂であるモレーン(堆石)が認められることが多く、窪地に水が溜まって「カール湖」を形成する場合もある。

穂高岳の涸沢カール
穂高岳の涸沢カール
宝剣岳の千畳敷カール
宝剣岳の千畳敷カール

日本の圏谷

日本国内では、飛騨山脈(北アルプス)や日高山脈などで圏谷が確認されている。日本における圏谷の学術的な発見は、山崎直方による立山連峰の「山崎カール」の記載が先駆けとされる。日本アルプスの圏谷は、最終氷期においても小規模な氷河によって形成されたと考えられており、その堆積物やモレーンの調査は、日本の古環境研究において重要な役割を果たしている。

仙丈ヶ岳の小仙丈カール
仙丈ヶ岳の小仙丈カール
飛騨山脈の氷河地形
飛騨山脈の氷河地形。涸沢カールや天狗原カールが確認できる。

代表的な圏谷

  • 飛騨山脈:涸沢カール、槍沢カール、天狗原カール、山崎カール、黒部五郎カール
  • 木曽山脈:千畳敷カール、濃ヶ池カール、空木平カール、摺鉢窪カール
  • 赤石山脈:薮沢カール、細沢カール、荒川カール
  • 日高山脈:七ッ沼カール、八ノ沢カール、コイボクカール
タトラ山脈の圏谷
タトラ山脈の圏谷

よくある質問

圏谷と渓谷の違いは何ですか?
圏谷(カール)は氷河の侵食によって形成される半円状の源流部地形ですが、渓谷は主に河川の侵食によって形成される細長い谷を指します。
日本に圏谷は存在しますか?
はい、飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈、日高山脈などに存在します。
カール底に湖ができるのはなぜですか?
氷河の侵食によって形成された窪地に、氷河の後退後に雪解け水や雨水が溜まることでカール湖が形成されます。

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氷河地形学飛騨山脈モレーン

参考文献

  • Goudie, A. (2004). Encyclopedia of Geomorphology. Routledge. p.154.
  • 青木賢人「第四紀と氷河時代」『自然地理学概論』朝倉書店、2008年、94-95頁。