物理化学
物質科学におけるクラスターの基礎と構造
物質科学におけるクラスターの定義、フラーレンや金属クラスター、金属カルボニルクラスターなどの構造と特徴について解説します。
📌 主なポイント
- ✓物質科学におけるクラスターは、同種の原子や分子が数個から数十個以上結合した集合体を指す。
- ✓原子や分子を結びつける相互作用には、ファンデルワールス力や共有結合、金属結合などが含まれる。
- ✓C60フラーレンは、炭素原子60個が結合したサッカーボール状の共有結合クラスターの代表例である。
- ✓金属カルボニルクラスターの典型例であるドデカカルボニルルテニウムなどは、3つの金属原子が正三角形をなす構造を持つ。
物質科学においてクラスターとは、同種の原子あるいは分子が相互作用によって数個から数十個、もしくはそれ以上の数が結合した物体を指す言葉である。原子や分子同士を結びつける相互作用としては、ファンデルワールス力、静電的相互作用、水素結合、金属結合、共有結合などが挙げられる。なお、こうしたクラスターのうち電荷を帯びたものはクラスターイオンと呼ばれる。
クラスターの位置づけ
クラスターは、いわゆるバルクとも孤立した原子・分子とも異なる状態であり、少数多体系あるいは有限多体系と呼ばれる。これらはバルクと孤立原子・分子の間に位置する新しい物質相であると考えられており、サイズに依存した特異的性質を示すことから、新規磁性材料や触媒材料などの応用面でも注目を集めている。
フラーレン
代表的なクラスターの一つとして、炭素原子60個が結合してサッカーボール状の構造を持つC60フラーレンが挙げられる。C60フラーレンは共有結合クラスターに分類される。
金属クラスターと金属カルボニルクラスター
複数の遷移金属原子が互いに金属結合した構造をしているものは金属クラスターと呼ばれ、近年ではナノ粒子という概念とも関連して議論されている。また、有機金属化学の分野では、カルボニル配位子で安定化された金属クラスターを金属カルボニルクラスターと称する。金属カルボニルクラスターの典型的な例としては、ドデカカルボニルルテニウム(Ru3(CO)12)やドデカカルボニルオスミウム(Os3(CO)12)などが挙げられ、これらはいずれも3つの金属原子が正三角形を形成する構造を持っている。
よくある質問
物質科学におけるクラスターとは何ですか?
同種の原子または分子が、ファンデルワールス力や共有結合、金属結合などの相互作用によって数個から数十個以上結合したもののことです。
クラスターイオンとは何ですか?
クラスターのうち、電荷を帯びたものの総称です。
金属カルボニルクラスターの例にはどのようなものがありますか?
ドデカカルボニルルテニウムやドデカカルボニルオスミウムなどが挙げられ、いずれも3つの金属原子が正三角形の構造を形成しています。
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ナノ粒子クラスター化合物金属カルボニルクラスタードデカカルボニルオスミウムドデカカルボニルルテニウム
参考文献
日本化学会 編『フラーレンの化学』共立出版〈化学の要点〉、2016年。日本化学会 編『ナノ粒子』共立出版〈化学の要点〉、2013年。日本化学会 編『有機金属化学』共立出版〈化学の要点〉、2013年。