電気通信技術

同軸ケーブルの構造と技術的特性

同軸ケーブルの構造と技術的特性
同軸ケーブルの構造、特性インピーダンス、および漏洩同軸ケーブルなどの特殊な用途について解説します。

📌 主なポイント

  • 同軸ケーブルは、内部導体、絶縁体、外部導体、シースの同心円状構造を持つ。
  • 特性インピーダンスは、主に電力伝送用で50Ω、信号伝送用で75Ωが一般的である。
  • 漏洩同軸ケーブル(LCX)は、トンネルや地下街などの無線通信環境を構築するために使用される。

同軸ケーブル(Coaxial cable)は、電気通信において高周波信号を伝送するために用いられる被覆電線の一種です。断面が同心円状に重なる構造をしており、内部導体(芯線)を絶縁体で覆い、さらにその周囲を外部導体が包み込むことで、外部からの電磁波の影響を低減するシールド効果を備えています。

構造と基本原理

同軸ケーブルは、中心の内部導体、それを囲む絶縁体、さらに外側の外部導体、そして全体を保護するシース(保護被覆)の4層構造が基本です。外部導体は電位の基準(接地側)として機能し、内部導体は信号線として機能します。この構造により、外部への電磁波漏洩を抑えつつ、安定した信号伝送を可能にしています。

特性インピーダンス

同軸ケーブルの性能を決定づける重要な指標に「特性インピーダンス」があります。これは内部導体と外部導体の直径比、および絶縁体の誘電率によって決まります。一般的に、無線通信機器の電力伝送用には50Ω、テレビ放送などの信号伝送用には75Ωが広く用いられています。

特殊な構造と用途

用途に応じて、標準的なケーブル以外にも特殊な構造を持つものが存在します。

  • 漏洩同軸ケーブル(LCX):外部導体にスロット(穴)を設けることで、ケーブル自体がアンテナとして機能するように設計されています。トンネル内や地下街など、通常のアンテナでは電波が届きにくい場所での無線通信に利用されます。
  • セミリジッドケーブル:外部導体に銅パイプを使用し、高い遮蔽特性と安定性を実現したケーブルです。機器内部の配線など、曲げ加工を必要としない高周波回路に適しています。
  • 同軸管:大電力の送信機出力用として、空気絶縁を用いたパイプ状の構造を持つものです。

取り扱い上の注意

同軸ケーブルは構造上、物理的な変形に敏感です。特に絶縁体として発泡ポリエチレンなどが使用されている場合、強く縛ったり屈曲させたりすると内部構造が変形し、インピーダンスの変化や信号損失を招く恐れがあります。設置や配線の際には、過度な負荷をかけないよう注意が必要です。

よくある質問

なぜ同軸ケーブルは外部の電磁波の影響を受けにくいのですか?
中心の内部導体を外部導体が包み込む構造になっており、外部導体が電磁シールドとして機能するため、外部からの電磁波の影響を遮断しやすくなっています。
50Ωと75Ωの使い分けは何ですか?
一般的に、無線機などの電力伝送には50Ωが、テレビ受像機などの信号伝送には75Ωが用いられます。
漏洩同軸ケーブルとは何ですか?
外部導体にスロット(穴)を設けることで、ケーブルから電波を放射・受信できるようにした特殊な同軸ケーブルです。トンネルや地下街などでの無線通信に利用されます。

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参考文献

  • ダグラス・E. カマー『コンピュータネットワークとインターネット 第6版』翔泳社、2015年、111頁
  • 昭和電線「移動体通信・防災無線システム用漏洩同軸ケーブル」
  • 三菱電線工業「地下街・地下鉄・ビル地下防災無線システム」
  • 松下尚弘、杉山智則、柳沼順「漏洩同軸ケーブル方式無線 LAN」東芝レビュー、2003年