航空工学

二重反転式ローターの構造と特徴

二重反転式ローターの構造と特徴
二重反転式ローター(同軸反転式ローター)の仕組み、特徴、利点と欠点、さらに発展型であるABCローターについて解説する百科事典記事です。

📌 主なポイント

  • 二重反転式ローターは、同一軸上に2つのメインローターを配置し、それぞれを逆回転させる構造を持つ。
  • テールローターを省略できるため、機体を小型化でき、パワーロスを低減できる利点がある。
  • ロシアのカモフ社製ヘリコプターなどで多く採用されている。

二重反転式ローター(にじゅうはんてんしきローター、英: coaxial rotors)または同軸反転式ローターは、単軸型のヘリコプターなどの回転翼機において、メインローターを同軸上に2重配置し、それぞれを逆方向に回転させる形式である。

それぞれのローターによって発生するトルク(反トルク)を互いに相殺できるという特徴を持ち、従来のシングルローター機で必要とされたテールローターを省略できる利点がある。

特徴と運用における利点・欠点

ツインローター形式としては歴史が古く、ロシア(旧ソビエト連邦)のカモフ設計局が開発したヘリコプター(Ka-27、Ka-31、Ka-32、Ka-50など)に多数採用されていることでも知られる。

カモフ Ka-32A-12
カモフ Ka-32A-12
火星で運用されている小型ロボットヘリコプター インジェニュイティ
火星で運用されている小型ロボットヘリコプター インジェニュイティ

主な利点

  • ローターの直径を小さく設計できるため、機体全体をコンパクトにまとめやすい。
  • テールローターが不要になるため、テールブームを長く伸ばす必要がなく、低空飛行時や離着陸時の安全性が向上する。
  • エンジンの全出力をメインローターの揚力に回すことができるため、パワーロスを低減できる。
  • 艦上機や艦載機として運用する際に、限られたスペースやヘリポートの面積を節約できる。
カモフ Ka-27
カモフ Ka-27
Ka-31
Ka-31

主な欠点

  • ローター回転軸やトランスミッション、操縦系統の構造が複雑になり、設計やメンテナンスの難度が高い。
  • 飛行中の応力によるローター同士の接触を防ぐため、上下の間隔を広げる必要があり、マストが高くなる傾向がある。
  • 上下のローター間における干渉による空気力学的損失が発生する。
Ka-32
Ka-32
Ka-50
Ka-50

ABCローターの発展

二重反転式ローターをさらに発展させた形式として、アドヴァンスト・ブレイド・コンセプト・ローターABCローター)と呼ばれる概念が存在する。

これはリジッドローターを用いた二重反転式ローターであり、上下に配置された回転翼の前進側の羽根を利用して揚力を確保することで、後退側の失速や逆流といった制限を克服し、高速飛行性能の向上を目指した技術である。

よくある質問

二重反転式ローターの最大のメリットは何ですか?
それぞれのローターが逆方向に回転することで反トルクを相殺するため、テールローターが不要になり、機体を小型化してパワーロスを軽減できる点です。
どのような航空機に採用されていますか?
ロシアのカモフ設計局が開発したKa-27やKa-50などの軍用・民間ヘリコプターを中心に採用されています。
構造上の主な欠点は何ですか?
ローター軸やトランスミッションの構造が複雑になり、設計、製造、およびメンテナンスの難度が高くなることが挙げられます。

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参考文献

公益社団法人 日本航空技術協会『航空工学講座 11 ヘリコプタ』2013年3月.