哲学・倫理学
正義の概念と歴史的展開

倫理、法律、合理性に基づく道徳的正しさである正義(justice)の概念について、分配的正義、匡正的正義、応報的正義などの分類や古代から現代に至る哲学的展開を解説します。
📌 主なポイント
- ✓正義(justice)は倫理や法律、合理性に基づく道徳的な正しさに関する概念である。
- ✓アリストテレスは正義を配分的正義と矯正的(匡正的)正義に大別した。
- ✓ジョン・ロールズは1971年に『正義論』を著し、「公正としての正義」を主張した。
正義(せいぎ、英: justice、仏: justice、独: Gerechtigkeit、羅: jūstitia、希: δικαιοσύνη)とは、倫理、合理性、法律、自然法、宗教、公正などに基づく道徳的な正しさに関する概念です。明治以降に「義」に代わって使用されるようになり、広義の日本語の日常的な意味においては、道理に適った正しいこと全般を指します。
正義の実質的な内容を探究する学問分野は正義論と呼ばれ、西欧哲学においては古くから様々な分類や議論がなされてきました。
正義の分類
西欧の伝統的な法・政治哲学においては、正義のあり方についていくつかの類型が区別されてきました。
分配的正義
分配的正義(distributive justice)とは、各人に各人のものを分配すること、すなわち各人がそれぞれ持つべきものを実際に持つように働きかけることです。「各人に各人のものを」という格言は、正義の定式として古くから受け入れられてきました。
分配的正義の特徴は、各人が何らかの事物に対する自己の相応しさに応じてそれを比例的に持つことを目標とする点にあります。例えば、平等主義は各人が何らかの対象を平等に持つべきであるとする立場です。
よくある質問
正義の主な分類にはどのようなものがありますか?
分配的正義、匡正的正義(矯正的正義)、応報的正義、修復的正義などの分類が議論されてきました。
プラトンの考える正義とは何ですか?
プラトンは著書『国家』の中で、個人や共同体の中で調和が完成されていること、すなわち各人が自身の職分を全うすることを正義と定義しました。
ジョン・ロールズの「公正としての正義」とは何ですか?
ロールズが提唱した概念で、「無知のヴェール」という思考実験などを用いて、基本的自由の平等の原則や社会的・経済的不平等を最も恵まれない人々の利益に資するように調整する格差原理などを説いた理論です。
関連記事
善社会正義良心義人
参考文献
- 『あいまいな言葉』有紀書房、1957年、146-148頁。
- プラトン『国家』
- 野村秀世『プラトンの正義論』東海大学出版会、2008年、260頁。