大陸棚の地形学的特徴と国際法上の制度

📌 主なポイント
- ✓大陸棚の世界平均水深はおよそ130メートルであり、幅は平均78キロメートルとされる。
- ✓地形学上の大陸棚の外縁はシェルフブレイクと呼ばれ、その外側には大陸斜面が続く。
- ✓1982年の国連海洋法条約により、沿岸国は原則200海里までの海底を大陸棚とできるほか、条件を満たせば外側への延長が認められている。
- ✓日本は沖ノ鳥島や小笠原海台などの海域において、大陸棚限界委員会への申請や政令決定を経て大陸棚の拡張・延長を進めている。
大陸棚(たいりくだな、英語: continental shelf)とは、大陸の周縁に分布するきわめて緩傾斜の海底であり、傾斜の変換点をその外縁とする平らな棚状の地形を指す用語である。海底地形学上の定義と、国際法上の法的定義が存在し、それぞれ適用される文脈が異なる。

地形学上の大陸棚と構造
国際測地学・地球物理学連合(IUGG)主催の委員会で採択されたWiseman and Ovey(1953)による定義では、「低潮線に始まり、深海に向かって著しい傾斜の増大が生ずる深さまでの大陸を取り巻く海底地域」とされている。世界における平均水深はおよそ130メートルであり、南極海では約400メートルに達する。幅は平均78キロメートルとされるが、北極海のように400キロメートルを超える地域も存在する。
大陸棚の外縁で著しい傾斜増大が生じる場所はシェルフブレイク(shelf break)と呼ばれ、それより深海側は大陸斜面(continental slope)と呼ばれる。さらに大陸斜面の中で傾斜が緩くなったコンチネンタルライズ(continental rise)を経て、深海平原へと続く。大陸斜面の角度はおおむね3度程度であるが、1度未満の場合や10度を超える場合もある。
成因
第四紀更新世や完新世の氷期において、氷河の発達と融解により海水準が上下する「氷河性海面変動」が生じた。現在見られる大陸棚の多くは、海面が現在より百数十メートル低かった氷期の海水準変動期に、大陸プレートの辺縁部で堆積平野として形成された部分と考えられている。

法的大陸棚と国際海洋法条約
1958年の第一次国連海洋法会議で採択された「大陸棚に関する条約」では、「200メートルまたは天然資源の開発可能な水深まで」と定義されていた。しかし、技術の進展に伴い基準としての妥当性が失われたため、1982年に「海洋法に関する国際連合条約」(海洋法条約)が採択され、1994年に発効した。
海洋法条約の下では、沿岸国は原則として200海里までの海底及び海底下を大陸棚とすることができる。さらに、海底の地形や地質が一定の条件を満たす場合には、大陸斜面脚部から60海里の範囲、あるいは堆積岩の厚さが大陸斜面脚部からの距離に対して1%である範囲などの条件に基づき、200海里の外側に大陸棚の限界を設定することが認められている。
日本における大陸棚の延長と申請の歴史
日本は1994年の海洋法条約発効に合わせて「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」を制定した。国連の「大陸棚限界委員会」に対し、近海のおよそ74万平方キロメートルの領域について延長申請を行い、審理を経て順次認められてきた。
- 2012年4月:大陸棚限界委員会により、沖ノ鳥島を基点とした海域を含む太平洋4海域(計約31万平方キロメートル)の延長が初めて認められた。
- 2014年9月:政府は政令を決定し、沖ノ鳥島北方の四国海盆海域や沖大東海嶺南方海域など、計1万7,700ヘクタール規模(約17万7,000平方キロメートル)の海域を新たに大陸棚とした。
- 2024年6月:小笠原海台海域の大部分について延長するための政令が決定され、同年7月20日に施行されたことにより、12万平方キロメートルの海域が新たに日本の大陸棚に加わった。
これらの延長された海域では、レアメタルや天然ガスなどの海洋資源開発に関して日本が主権的権利を行使することができる。