化学
酸化銅(I)の化学的性質と産業上の用途

化学式Cu2Oで表される酸化銅(I)の物理的・化学的性質、糖検出試薬との関係、船底塗料や整流器としての用途について詳しく解説します。
📌 主なポイント
- ✓化学式は Cu2O であり、別名を酸化第一銅と呼ぶ。
- ✓天然には赤銅鉱として産出され、鉱物は宝石にも利用される。
- ✓水にはほとんど溶けないが、希塩酸やアンモニア水などに可溶である。
- ✓シリコンが普及する前の1924年から整流ダイオードなどの産業用整流器として利用されていた。
- ✓船底塗料として用いられるが、ガルバニック腐食を防ぐためアルミニウム艇には使用されない。
酸化銅(I)(さんかどう いち、英: copper(I) oxide)は、化学式 Cu2O で表される銅の酸化物の一つです。別名を酸化第一銅とも呼びます。天然には赤銅鉱として産出され、鉱物は宝石としても利用されることがあります。


物理的および化学的性質
赤色ないし赤褐色の結晶または結晶性粉末として存在し、水にはほとんど溶けません。一方で、希塩酸や希硫酸、塩化アンモニウム溶液、アンモニア水には可溶であり、有機溶媒には不溶です。濃塩酸に溶かすとジクロロ銅(I)酸を生成します。
乾燥空気中では安定ですが、湿った空気中では徐々に酸化されて酸化銅(II)へと変化します。融点は1232 °Cであり、1800 °Cに達すると分解して酸素を失います。
糖検出試薬との関係
フェーリング反応に陽性を示す物質は、フェーリング液を還元して酸化銅(I)の赤褐色沈殿を生じさせます。同様の原理はベネジクト液においても利用されており、還元糖などの検出において重要な役割を果たします。
産業上の用途
歴史的に、酸化銅(I)は整流作用を持つ物質として知られています。シリコン半導体が標準的な技術となる前の1924年には、酸化銅(I)を用いた整流ダイオードが製造され、産業利用されていました。
また、航行中の船体にフジツボなどの付着生物が寄生することによる摩擦抵抗の増加や、それに伴う燃費悪化を防ぐための船底塗料としても使用されます。有機スズ化合物と比較して毒性が低いという利点がありますが、異種金属間のガルバニック腐食を引き起こす性質があるため、アルミニウム製の艇には使用できず、繊維強化プラスチック(FRP)や木製の船底に採用されています。
よくある質問
酸化銅(I)の色や外観はどのようなものですか?
赤色ないし赤褐色の結晶または結晶性粉末として存在します。
酸化銅(I)は水に溶けますか?
水にはほとんど溶けませんが、希塩酸、希硫酸、塩化アンモニウム溶液、アンモニア水には可溶です。
船底塗料として使用される理由は何ですか?
航行中の摩擦抵抗の原因となるフジツボなどの付着を防止する作用があり、有機スズ化合物に比べて毒性が低いためです。
どのような船に船底塗料として使用できますか?
異種金属間のガルバニック腐食が発生するためアルミニウム艇には使用できず、主に繊維強化プラスチック(FRP)や木製の船底に採用されます。
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参考文献
沖野龍文「船にフジツボをつけない技術」北海道大学大学院地球環境科学研究院平成20年度公開講座 ヒトと地球にやさしい化学技術. 2008年9月。
日本ペイントマリン株式会社「船底塗料の種類」