無機化学
水酸化銅(II)の化学的性質と応用

水酸化銅(II)(Cu(OH)2)の化学的性質、熱安定性、および銅アンモニアレーヨン製造などの産業的応用について解説します。
📌 主なポイント
- ✓化学式はCu(OH)2であり、青色または青緑色の固体である。
- ✓60–80 ℃の加熱により黒色の酸化銅(II)へ分解する。
- ✓アンモニア水に溶解して銅アンモニア錯体を形成し、セルロースを溶解する特性を持つ。
水酸化銅(II)(Copper(II) hydroxide)は、化学式 Cu(OH)2 で表される銅の無機化合物です。青色または青緑色の固体として存在し、多くの化学プロセスや産業において重要な役割を果たします。

化学的性質
水酸化銅(II)は水や希酸にはほとんど溶けませんが、アンモニア水やシアン化アルカリ溶液には錯塩を形成して溶解します。特にアンモニア水に溶解した際に生成される銅アンモニア錯体は、セルロースを溶解させる性質を持つため、工業的に利用されています。また、クエン酸や酒石酸などのキレート剤が存在する環境下では、キレート化合物を形成して溶解します。
熱に対しては比較的不安定であり、60–80 ℃ 程度に加熱すると脱水反応を起こし、黒色の酸化銅(II)(CuO)へと分解します。ただし、結晶性の高い水酸化銅(II)は熱に対してやや安定性が増すことが知られています。

産業的応用
水酸化銅(II)の最も著名な用途の一つは、銅アンモニアレーヨンの製造です。セルロースを溶解する能力を活かし、繊維工業において重要なプロセスを担っています。また、農業分野では殺菌剤や防カビ剤としても利用されることがあります。
安全性と取り扱い
水酸化銅(II)は皮膚、眼、および呼吸器に対して刺激性を持つため、取り扱いには注意が必要です。労働安全衛生の観点からは、適切な保護具の使用が推奨されます。

よくある質問
水酸化銅(II)は水に溶けますか?
水酸化銅(II)は水に対してほとんど溶けません。
水酸化銅(II)を加熱するとどうなりますか?
60–80 ℃に加熱すると脱水分解し、黒色の酸化銅(II)に変化します。
水酸化銅(II)は何に使われますか?
主に銅アンモニアレーヨンの製造におけるセルロースの溶解や、農業用の殺菌剤として利用されます。
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参考文献
- Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002. ISBN 0-07-049439-8.
- NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0150.