物理学

臨界点(物理学)

臨界点(物理学)
物理学における臨界点の定義、気液相転移との関係、および超臨界流体について解説します。

📌 主なポイント

  • 臨界点は気相と液相の相転移が起こりうる温度および圧力の上限である。
  • 臨界温度を超えると、どれだけ圧縮しても物質は液化しない。
  • 臨界点では気相と液相の密度が一致し、気化熱がゼロとなる。
  • 臨界点以上の温度・圧力下にある状態は超臨界流体と呼ばれる。

物理学および熱力学における臨界点(りんかいてん、英語: critical point)とは、純物質において気相と液相の間の相転移が起こりうる温度および圧力の上限を指します。この点を超えると、気体と液体の区別は消失します。

気液相転移と臨界点

純物質の相図において、気液境界線(蒸気圧曲線)の終端が臨界点です。臨界温度(Tc)および臨界圧力(Pc)は物質固有の値であり、例えば水の場合は373.95 °C、220.64バールです。臨界温度以下の気体は「蒸気」と呼ばれ、等温圧縮によって液化させることが可能ですが、温度が臨界点を超えると、どれだけ圧力をかけても液化することはありません。

代表的な相図
代表的な相図。気液境界線の終端が臨界点を示している。

臨界点に近づくにつれ、気相と液相の密度差は減少し、臨界点において両者の密度は一致します。このとき、気相と液相の境界(界面)は消失し、気化熱もゼロとなります。

超臨界流体

物質の温度と圧力を共に臨界点以上に設定した状態の流体を超臨界流体と呼びます。この状態では液体と気体の区別がつきません。臨界点を迂回するような経路で状態を変化させることで、相転移を伴わずに連続的に密度を変化させ、蒸気から液体へと状態を移行させることが可能です。

固液臨界点に関する議論

固相と液相の間に臨界点が存在するかどうかについては、長年議論の対象となっています。結晶と液体は対称性が異なるため、通常の条件下では固液臨界点は存在しないと考えられています。ただし、計算科学的な研究や特定の条件下における理論的検討において、固液臨界点の可能性が示唆されることもあります。

よくある質問

臨界点を超えると物質はどうなりますか?
物質は超臨界流体と呼ばれる状態になり、気体と液体の区別が消失します。
水の臨界点は何度ですか?
水の臨界温度は373.95 °C、臨界圧力は220.64バールです。
固液臨界点は存在しますか?
結晶と液体は対称性が異なるため、通常の条件下では存在しないと考えられていますが、理論的な研究や特定の条件下での存在可能性については議論が続いています。

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参考文献

  • Wagner, W. & Pruß, A. (2002). The IAPWS Formulation 1995 for the Thermodynamic Properties of Ordinary Water Substance.
  • 原島鮮『熱力学・統計力学』培風館、1978年。
  • 清水明『熱力学の基礎』東京大学出版会、2007年。
  • 望月建爾「カーボンナノチューブに内包された水の固液臨界現象」『日本結晶成長学会誌』2015年。