気象学
クラウンフラッシュ:大気光学現象の概要
クラウンフラッシュは、積乱雲の上部で観測される極めて稀な大気光学現象です。氷の結晶と電磁場の相互作用による光の柱の発生メカニズムと歴史を解説します。
📌 主なポイント
- ✓クラウンフラッシュは、積乱雲の上部で発生する非常に稀な大気光学現象である。
- ✓主な原因は、雲内の電界変化に伴う氷の結晶の再配向による太陽光の反射の変化とされている。
- ✓1885年の『Monthly Weather Review』に初期の科学的記述が残されている。
クラウンフラッシュ(英: Crown flash)は、積乱雲の上部付近で観測される極めて稀な大気光学現象である。サーチライトや懐中電灯の光芒に似た、垂直あるいは湾曲した光の柱が雲から立ち上がるように見えるのが特徴である。
発生メカニズム
現在の科学的仮説では、この現象は積乱雲内の電磁場の変化によって引き起こされると考えられている。積乱雲の上層部に存在する小さな氷の結晶が、雷放電などによって雲内の電界が急激に乱されることで再配向(向きを変える)し、その結果として太陽光の反射パターンが変化することで光芒が生じる。この光は自己生成光ではなく、太陽光の反射や屈折によるものであるため、観察者の位置によって見え方が左右される。
歴史と記録
クラウンフラッシュに関する初期の科学的記述は、1885年の『Monthly Weather Review』に遡る。その後、1971年に学術誌『Nature』で再び取り上げられたことで注目を集めた。ギネス世界記録においても、この現象の初期の記述が記録されている。非常に稀な現象であるため、長らく詳細な文書化が困難であったが、近年では動画共有サイトなどを通じて、この現象を捉えたとされる映像記録が蓄積されつつある。
よくある質問
クラウンフラッシュはどのように見えますか?
サーチライトや懐中電灯のような光の柱が雲の上から立ち上がるように見え、時には非常に速いスピードで動いているように見えることがあります。
クラウンフラッシュはなぜ発生するのですか?
積乱雲内の電磁場の変化により、雲上部の氷の結晶の向きが変わり、太陽光の反射の仕方が変化することで発生すると考えられています。
クラウンフラッシュはどこでも見られますか?
非常に稀な現象であり、特定の気象条件(積乱雲の存在と電界の乱れ)が必要とされるため、どこでも簡単に見られるものではありません。
関連記事
太陽柱幻日映日積乱雲
参考文献
- Corliss, William R. (1982). Lightning, auroras, nocturnal lights, and related luminous phenomena: a catalog of geophysical anomalies. Sourcebook Project.
- Vonnegut, Bernard (1965). "ORIENTATION OF ICE CRYSTALS IN THE ELECTRIC FIELD OF A THUNDERSTORM". Weather, 20(10), 310–312.
- Graves, Maurice E., Gall, John C., & Vonnegut, Bernard (1971). "Meteorological Phenomenon called Crown Flash". Nature, 231(5300), 258.
- Gall, John C., & Graves, Maurice E. (1971). "Possible Newly Recognized Meteorological Phenomenon called Crown Flash". Nature, 229(5281), 184–185.
- "ATMOSPHERIC ELECTRICITY". Monthly Weather Review, 13(4), 100–104 (1885).