地球科学
地殻変動:地球表面の長期的移動と観測手法

地殻変動の定義、プレート運動との関連、および水準測量やGPSなどの主要な観測手法について解説します。
📌 主なポイント
- ✓地殻変動は、プレート運動や断層運動によって地殻が長期間にわたり移動する現象である。
- ✓地殻変動とそれに伴う地震や火山活動を総称して地殻活動と呼ぶ。
- ✓現代の観測では、GPS(GNSS)や水準測量、衛星レーダーなどが併用されている。
地殻変動(ちかくへんどう、英語: diastrophism)とは、地殻に応力が加わることで、長期間にわたり地殻の位置が年間数mmから数cm程度移動する現象を指します。この現象は、地球の表面を覆うプレートの運動や、地層の断層運動と密接に関連しています。地殻変動そのものに加え、その結果として引き起こされる地震や火山活動など、地殻内で発生する一連の現象は「地殻活動」と総称されます。
メカニズム
地球上で観測される地殻変動の多くは、プレートテクトニクスに関連しています。プレート間の相対的な運動や、それに伴う断層運動、火山活動が局地的な変動を引き起こす主要な要因です。地殻内部で応力の強弱や方向依存性が生じると、地殻に「歪(ひずみ)」が蓄積されます。この歪が限界に達し、急激に開放される過程で地震が発生します。
観測手法
地殻変動の観測は、地震の研究やプレート運動の解明において不可欠です。主な観測手法には以下のものがあります。
陸上観測
- 水準測量:基準測量点を定期的に測定し、地殻の垂直および水平移動を調査します。GPS測量と比較して高い精度を維持できるため、現在も重要な観測手段として活用されています。
- GPS(GNSS)測量:国土地理院による電子基準点網の整備以降、地殻変動観測の代表的な手法となりました。連続的なデータ収集が可能であり、地震後の余効変動調査などにも広く利用されています。
- VLBI(超長基線電波干渉法):遠方のクェーサーからの電波を複数の電波望遠鏡で受信し、その距離を測定します。数mm単位の極めて高い精度を誇ります。
海底観測
海底の変動を捉えるために、海上との音波交信を用いた距離測定や、海底に設置した水圧計による深さの変化の測定が行われています。これらは東海地震の想定震源域など、特定の重要地域で実施されています。
航空・衛星観測
地球観測衛星や航空機を用いたレーダー観測(合成開口レーダーなど)により、広範囲の地殻変化を立体的に捉えることが可能となっています。国土地理院は、こうした衛星データを利用して火山活動や地盤沈下の変動分布図を公開しています。

比喩表現
「地殻変動」という言葉は、科学的な現象だけでなく、社会情勢や構造の大きな変化を指す比喩としても広く用いられます。
よくある質問
地殻変動と地震はどう関係していますか?
地殻変動によって地殻に歪が蓄積され、その歪が限界を超えて開放される際に地震が発生します。
なぜGPSだけでなく水準測量も行われるのですか?
GPSは連続観測に適していますが、鉛直方向の精度において水準測量が依然として優れている場合があり、両者が併用されています。
地殻変動の観測データはどのように活用されていますか?
主に地震の研究や予知、プレート運動の解明、火山活動や地盤沈下の監視などに活用されています。
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参考文献
- 地震調査研究推進本部事務局「地殻活動」
- 毎日新聞「地殻変動の全国地図 初公開/国土地理院:火山活動や地盤沈下 わかりやすく」(2023年3月29日)